十三杯目 公園
「そろそろ公園に着く。自然豊かな場所だから、落ち着くと思うぞ。」
「はい!楽しみです…」
(手を繋ぐのが当たり前になってて…本当にカップルみたい…嬉しいな…)
そのまま横並びで歩いていると…
「木が増えてきましたね。もうすぐですか?」
「ああ、あと何歩かってとこだな…」
「…わぁ…綺麗な公園ですね!」
日差しが木々の合間から差し込んでいて、どこからか鳥の声が聞こえてくる。
サヤはこういった場所が大好きだ。
「気に入ってもらえたかな…?」
「気に入るなんてものじゃないですよ…私、小さい頃からこういう場所が大好きなんです!普通の公園じゃなくて…自然が豊かで鳥がいっぱいいて…」
「よかった!俺もこういう場所大好きでさ…鳥の名前とか調べたり、小説書いたり、ちょっと風に吹かれたり…何でもできる。」
(よかった…気に入ってもらえて…そういえば、サヤさんと俺って結構好きなもの似てるよな。)
二人で少し歩くことにして、気持ちいい園内を散策する。
レドが言うには、いつも座るお気に入りのベンチがあるらしい。
「やっぱり、気持ちいいですね~…あ!さっき、レベッカさんの話に気を取られて…レドさんの本聞いてなかったです!教えてくださいよー!」
「俺は…その…」
真実を言おうか迷った。
当たり前だが、いつまでも嘘を吐き続けることはできない。
それなら今話した方が…と思う自分もいたが、正体を明かすのが怖い自分もいた。自分の名前ではなく、自分自身を好きになってほしかったからだ。
(告白してから話しても…いいよな?)
そんなことを考えながら歩いている時、サヤはというと…
(レドさん…たくさんいい場所知ってるんだな…でも、一番いい場所は…)
レドの隣。
自分で思って、ハッとした。俯いて、顔を赤くする。
それに気づいたレドは心配する。
「サヤ、大丈夫か?足痛い?」
「え?あ、大丈夫です…足は…」
「足はってことは、他に痛いところが…!?俺が抱えてベンチまで連れていくので!」
「えっ!?ちょっ…レドさ…」
だきっ
お姫様抱っこの形で、サヤを抱え上げてくれた。
これにはサヤも悶絶。前にも言ったが、無自覚紳士とは恐ろしいものだ…
幸い、周りには人がいなかったのでみられることはなかった。
「レドさん!私は大丈夫です!降ろしてくださいぃ!」
「いや、サヤはすぐ無理するからな。遠慮しなくていいんだぞ?」
(レドさん…力強い…!かっこいい…告白されたい…)
やっとベンチにたどり着き、降ろしてもらった。
「さっきより顔が赤いな…熱でもあるのか?」
「レドさん!このままじゃ本当に熱出ちゃいますよぅ!」
「?? 何でだ?」
「レドさん…紳士が過ぎるんです!女の子、皆ドキドキしちゃいますって!」
レドはいまいちピンと来ていない。
鈍感&紳士…掛け合わせてはならないジャンルだ。
「好きでもない男にお姫様抱っこされても、ドキドキしないだろ?」
「……………………」
(何か怒ってる…?今告白するのは…)
「好きですよ!!レドさんのこと…」
「!?」
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