異世界が嫌いな俺が異世界をブチ壊す ~ジョブもスキルもありませんが、最強の妖怪たちが憑いているので全く問題ありません~
迎火 灯
プロローグ
プロローグ
6月中旬の朝。スマホのアラーム音が鳴り、僕は目を覚ました。
時刻はちょうど午前7時。
気怠い気分ではあったが、ベッドから体を起こした。
顔を洗うため、洗面所へと向かった。
顔を洗い、洗面所の鏡を見ると、目の下には深く黒いクマができていた。
しかし、目の下にクマができているのも、そのせいで目付きが悪く、余計に陰気に見えるのもいつものことなので別に気にはならない。
洗面所を出ると、僕は制服へと着替え、それからキッチン兼ダイニングで朝食を作り、朝食を食べた。
朝食を食べ終えると、自宅のアパートを出て、学校へと登校した。
僕の名前は、
年齢は17歳。今年の春から高校二年生へと進級した。
身長は175cmで細身。黒い髪は癖っ毛で、いつもボサボサだ。
僕に家族はいない。
祖父は僕が5歳の時に病気で亡くなり、両親も僕が6歳の時に家族旅行中に交通事故で亡くなった。
僕も交通事故に巻き込まれたが、何故か怪我ひとつなく、事故から無事に生還した。
運が良かったとも言えるが、僕のその後の人生はどちらかと言えば不運であった。
両親が亡くなってすぐ、僕は父方の叔父叔母夫婦に引き取られた。
他に身寄りも無かったため、僕は物心ついたばかりではあったが、両親の死を受け入れ、彼らの下に身を寄せた。
けれども、叔父叔母夫婦が僕を引き取った目的は、亡くなった祖父と両親が残してくれた遺産目的だった。
僕の養育費という名目で、僕の遺産を使い込む目的だったらしい。
だが、祖父も両親も亡くなる前に、遺産相続に関する遺言状を残してくれた。
遺言状には、僕が全ての遺産を相続すること、僕が成人するまでの間、僕が相続した遺産の管理は、祖父や両親が指定した弁護士が遺言執行者として遺産を管理することがいずれも書いてあったそうだ。
このため、叔父叔母夫婦の目論見は早々に崩れ、彼らの僕への態度は一気に急変した。
少しでも僕が粗相をしたり、叔父叔母夫婦にとって嫌なことがあったりすると、すぐに八つ当たりするように、僕に暴言を吐いたり、暴力を振るってきた。
食事も満足に振る舞われず、服や日用品、玩具なども十分には買ってもらえなかった。
僕は辛い毎日を送っていた。
いっそ、亡くなった祖父や両親の下に行きたい、自身の死を願う時さえあった。
しかし、叔父叔母夫婦の下での生活は呆気なく終わりを告げた。
僕が中学一年生になった頃、会社員だった叔父が警察によって逮捕された。
何でも会社のお金を横領し、使い込んでいた事実が発覚したそうだ。
業務上横領罪で警察に捕まった叔父には裁判で有罪判決が下され、懲役10年の刑が処された。叔父は現在、刑務所で服役中だ。
叔父が逮捕されると同時に、叔母も僕の前から姿を消した。蒸発したのだった。
叔父が横領したお金の一部を叔母も使っていたそうだが、叔父が会社から横領したお金とは知らなかったそうだ。叔母が罪に問われることは無かった。
けれども、叔母はギャンブルやホストクラブ、ブランド品の購入など、かなり金遣いが荒かったそうで、闇金から多額の借金までしていたそうだ。
家に借金取りが押しかけて来るようになると、叔母は僕を一人、家に残して何処へと姿を消したのだった。
叔母とは音信不通で、今もどこにいるのか、生きているかさえ分からない。
天涯孤独となった僕はその後、М市内のとあるアパートで一人暮らしを始めた。
中学生一人での生活は、はじめは大変ではあったが、慣れてしまえば、叔父叔母夫婦の下で生活するよりもずっと快適だった。
2DKの部屋で、家賃は4万円。亡くなった祖父と両親の残してくれた多額の遺産のおかげで、僕はお金に不自由することなく、今日まで一人で生活できている。
大学進学への学費も十分にあるため、僕は学業へと専念した。
そして、去年、進学校で公立高校の
僕の人生は一旦盛り返したかのように見えるが、実はそうでもない。
幼稚園の頃からなのだが、何故か僕の周りでは事故や怪我に遭う人、病気になる人が多いのだ。
僕と仲良くなった子は何故か怪我をしたり、病気になったりしてしまうのだ。
また、僕に意地悪をしようとしてきた子たちもいたが、みんな事故や怪我に遭ってしまう。
そんな不可思議なことが続いたせいか、僕の周りからどんどん人が離れていった。
「呪われている。」だの「忌み子だ。」だの周囲から言われ、僕に友達ができることは無かった。
僕と関わると不幸になる、そんな噂が幼稚園の頃から現在まで流れている。
僕自身の性格も災いした。
僕は元々目立つのが嫌いで、人と話すのが苦手だった。
そのため、現在では友達が一人もいない、ぼっちでコミュ障という内向的な性格の人間になった。
クラスでもいつも一人浮いていて、孤立している。
まともにクラスメイトたちと会話をしたことがない。挨拶だって碌にできないでいる。
趣味が読書のため、いつも授業中以外は、一人本を読んで教室で過ごしている。
だが、別に気にはしていない。
友人がいなくても、寂しいと感じることは無かった。
ぼっちであることに慣れてしまったと言うべきだろうか。
とにかく、学校には無遅刻無欠席で通っているし、生活には不自由していない。
学校の成績は中の中といったところだが、まあまあと言えよう。
学校へ行き、授業を受け、空いた時間は一人読書をして過ごす。
友人はいないが、別に他人と揉めることも無い。
僕は僕なりに現在の生活を、ぼっちライフを満喫していた。
そう、あの時までは。
異世界に召喚されたことで、僕の穏やかだった日常は崩れ去り、時に過酷で、時に騒々しい異世界生活が幕を開けるのだった。
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