【1月再開予定!】オッサン、3人のギャルに『シェア』される!?〜元気いっぱいな美人ギャルに懐かれた平凡サラリーマン、ギャルづくしな毎日が始まって悶絶する〜

兎のしっぽ🐇

第1章① 1人目のギャル「月城ミサキ」

1-1 オッサン、彼氏持ちギャルと出会う

 夏本番の気配が漂い始めた7月中旬の金曜日。仕事帰りの俺の目の前を、半袖スクールシャツの女子高生が歩いている。


 ただの女子高生ではない。


 身長は俺より頭ひとつ分ほど低い160センチ前後と標準ながら、手足はスラリと長く、小顔でスタイル抜群の超モデル体型。

 サラサラと風になびく金髪には淡いピンクのインナーメッシュ。肌は透き通るように白く、手首にはシルバーのブレスレットが輝く。

 制服のシャツをオシャレに着こなし、ふわりと弾むスカートは超がつくほどのミニ丈だ。


 帰宅ラッシュが始まった夕方の駅前でも、ひときわ目を引くド派手な容姿。そう――


 彼女は、ギャルだ。


 それも、華やかさと清楚さを併せ持つ、令和が生んだ最強ギャル。"白ギャル"である。


 27年間生きてきて、まったく接点のなかったカーストトップの1軍女子に、俺――名雲優希なぐもゆうきは声をかけようとしている。


 別に人付き合いが苦手なわけではないし、初対面でもそれなりに会話はできる。……はずなのに、相手が1軍女子というだけで肩にチカラが入る。


 というか、よくよく考えたら、入社してからの5年間、母親や同僚、取引先以外の女性とまともに会話した記憶がない。


 そう思うと、途端に緊張が高まった。喉が張りつく。


「……ごくり」


 俺、こんなんだったか?


 ゴリゴリのギャル相手にちゃんとコミュニケーションが取れるか、だんだん不安になってきた。む、胸が締め付けられるっ……でも、行くしかない!


 覚悟を決めた俺は流れる汗をハンカチでぬぐい、手にした"ピンク色のスマホ"をギュッと握りしめた。――いざ!


「あの、すみません」


「……」


 声をかけたつもりが、ギャルは前を向いたままスタスタと歩き続ける。聞こえなかったみたいだ。


「あの、すみません」


「ふんっ」


 はは〜ん、これは無視されてるな。……こんちくしょうっ!


 心の中で涙目になる。俺が彼女と出会ったのは、ほんの1分前だ――


 自宅の最寄り駅まで戻った俺は、今週も仕事を終えたとホッとひと息つきながら駅前を歩いていた。すると、前を歩く彼女がポケットにスマホをしまい損ねたのだ。


 スマホは歩道へ落下。しかし、本人は気づかず、スルー。


 今の時代、スマホをなくしたら確実に困るだろうし、悪用されでもしたら大変だ。そう思い、すぐにスマホを拾い上げて声をかけた――というわけである。


 普通に話しかけてるつもりなのに、まったく振り返ってもらえない。


 いつの間にか、人通りの多い駅前でギャルとの追いかけっこが始まっている。周りの視線が痛いったらない。……どうしてこうなった?


 俺は、スマホを返したいだけなのにぃぃぃぃ!!


「あの、すみません」


「うざ……」


 ウザいって言われた。マジで泣きそう。


「あの」


「あーし、急いでるんで」


 ギャルはそう言い捨て、歩調を早めた。


「あっ、ちょっと!?」


 慌ててギャルについていく。


「ちょっと待ってくださいって!」


「やだ」


 ヤダっ!?


「あーし、彼氏いるし。超ラブラブだし。に興味ないし」


 あ、たぶんナンパだと思われてる。というか、いくらなんでも"オッサン"はやめてくれ。俺はまだ27歳だ。


 顔だって悪くない――はずだし、体もそれなりに引き締まってる――はず。趣味で毎日筋トレしてるからな。脱いだらスゴいんだぜ?


 まあ17、8歳の高校生からしたら、スーツ姿のサラリーマンなんて、みんなまとめてオッサンに見えるかもしれないけど、せめて『お兄さん』って呼んでほしい。


「いや、ナンパじゃないんですって」


「まさか!?」


 え?


「あーし、パパ活とかやんないし!! 見た目派手だけど全然ピュアだし!! 彼氏一筋だし!!」


「ちょっ!?」


 ギャルの声がデカすぎる! 人通りも多いのにやめてくれ!


 俺は堪らず彼女の前に回り込む。


「あの!」


「オッサン、しつこいっつーの!!」


「これを渡したいだけですって! あなたの落とし物です!」


 俺は革のハンドストラップがついたピンク色のスマホをギャルの目の前に差し出す。


「ああっ!! それ、あーしの!!」


 ギャルは俺の手からスマホをかっさらうと、すぐに画面をチェックし始める。……ひとことでもいいからお礼を言ってくれ。


「スカートのポケットへしまおうとした時にうっかり落としてしまったみたいですね。次からは気をつけた方がいいですよ」


「むうぅぅ……」


 まったく聞いてない。まあ、いっか。


「ちゃんとお渡ししましたからね? 俺はこれで失礼します」


 スマホを見るのに必死なギャルにそれだけ伝えて来た道を戻る。別に急いではいないのに周りの視線が気になって、自然と早歩きになる。……恥ずい。


 にしても、めちゃくちゃ美人だったな。あの子の方がずっと年下なのに、こっちが緊張するレベルだった。顔面偏差値が高すぎて、芸能人かと思ったよ。それに、すごくいい匂いがした。


 本物のギャルと面と向かって話す機会なんて、これが最初で最後だろうな。いやまあ、さっきのを会話と呼んでいいのか――


「だああああああああああああッッ!?」


「うおうっ!?」


 背後から突然、女性の叫び声が上がった。思わず立ち止まって振り返る。


 ついさっき別れたばかりのギャルが、帰宅ラッシュ真っ只中の駅前でスマホを天に掲げて叫んでいた。


「だああああああああああああッッ!?」


 ――なにごとッ!?

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