【1章完結】オッサン、3人のギャルに『シェア』される!?〜元気いっぱいな美人ギャルに懐かれた平凡サラリーマン、ギャルづくしな毎日が始まってしまう〜
兎のしっぽ🐇🐇
1人目のギャル「月城ミサキ」
第1話 オッサン、彼氏持ちギャルと出会う
女子高生って、なんでこんなにいい匂いがするんだろうな。
目の前を行くピンクメッシュの金髪とミニスカートが揺れるたび、彼女たち特有の甘い香りが漂ってくる。
梅雨も明け、いよいよ夏も本番といった7月中旬。夕方の駅前。俺は今一度息を吸い込んでから、前を歩く半袖スクールシャツの女子高生に声をかける。
「あのー、すいませーん」
後ろ姿はゴリゴリの
「あーし、急いでるんで」
ギャルの歩調が早くなる。
「ぐっ……」
また失敗だ。先ほどからギャルがまったく振り向いてくれない。さてどうしたものか……。
ことの始まりは1分ほど前――
今週もようやく仕事が終わり、土日は何をして過ごそうか。イチャイチャするような恋人もいないし、結局ひとりで趣味の料理や読書をして過ごすことになりそうだな。なんて考えながら駅前を歩いていると、前を行く女子高生のスカートのポケットからスマホが滑り落ちた。
本人はそのことに気づいていなさそうだったので彼女のスマホを拾い上げ、なんの気なしに声をかけたところ、なぜか無視された。
そのまま追いかけっこが始まってしまい、今に至るというわけだ。彼女の名前はもちろん知らないし、顔すらまともに見ていない。
「ちょっと待ってくださいって」
「あーし、彼氏いるし。ラブラブだし。
たぶんあれだ。ナンパだと思われている。しかもオッサンって。
まあ17、8歳の高校生からしたら20代後半のサラリーマンなんてオッサンに見えるかもしれないけど、そこはせめて『お兄さん』にしてほしい。
「いや、ナンパじゃないんですって」
「まさか
「ちょっ――――!?」
ギャルの声がでかいって!? めちゃくちゃ注目されてるじゃないか!?
俺は堪らずギャルの前に回り込み、通せんぼする。
「オッサン、しつこいっつーの!!」
「これ! 落とし物です!」
俺はチェーンのハンドストラップがついたピンク色のスマホをギャルに見せつける。
「ああっ! それ、あーしの!」
ギャルは俺の手からスマホをかっさらうとすぐに画面をチェックし始める。
「スカートのポケットへしまおうとして落ちちゃったみたいです。今後は気をつけてくださいね。俺はこれで失礼します」
スマホを見るのに必死なギャルにそれだけ伝えて来た道を戻る。
別に急いではいないのに周りの視線があるからか自然と早歩きになっている。
というか、今の子めちゃくちゃ可愛いかったな。目鼻立ちがはっきりしてて女優かアイドルかと思ったよ。可愛すぎてちょっと緊張しちゃったくらいだ。
そもそもゴリゴリのギャルと面と向かって話したのなんて生まれて初めてだったし。まあ、さっきのを会話と呼んでいいのか――
「あああああああああッッ!!」
人通りの絶えない駅前に女性の絶叫が響く。
声のした方へ振り返ると、先ほどのギャルがスマホの裏側を見つめながら慌てふためいている。
「ないし!?」
ギャルは足元をグルリと見回したあと誰かを探すように辺りをキョロキョロする。
「あ! いた!」
おかしいな? 今、俺と目が合ったような……?
「ちょっと!! オッサン!!」
鼻息荒くしたギャルがなぜか大股で近づいてくる。
「えっ、なにごと!?」
ギャルは身構える俺の目の前までやって来ると大きな瞳に涙を浮かべながら訴えてくる。
「
「えっ?」
「だから!!」
ギャルは俺にスマホの裏側を突きつけてくる。
「チェーンの
「はぁ……?」
「一緒に探して!!」
「えっ、探す?」
「そお!! こっち来て!!」
半袖同士で腕を組まれる。ギャルの肌がスベスベで超気持ちいい。
そのままアレよあれよという間に駅前の端の方まで連れて来られる。
「オッサンはそっち探して! あーしはこっちね! はい、よーいどん!!」
「いや、よーいどんって何を探せば?」
「これ!!」
ギャルがスマホの裏側のハンドストラップを指差す。1円玉ほどの金の星が輝いていた。
「1個ないから探して!」
「えっ……」
俺は駅前の雑踏へ目を向ける。
すでに帰宅ラッシュへ突入している状態で、どこで落としたかも分からない小さな星の飾りを探せと?
「無理ですって!? そもそも一緒に探すなんてひと言も……」
「見つけたら
「……」
しょ、しょーがないなあー! 女の子が困ってたら助けてあげるのが男ってもんだろ?
「必ず見つけ出しましょう!」
「オッサン、急にノリノリじゃん!」
「そんなことありませんよおー?」
「ニヤニヤしてないで真面目に探せよ……オッサン?」
「あ……はい」
こうして俺はヤンキーみもある激かわギャルのために小さな失くし物を探すことになったのだった。
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