【60万PV突破!】オッサン、3人のギャルに『シェア』される!?〜元気いっぱいな美人ギャルに懐かれた平凡サラリーマン、ギャルづくしな毎日が始まってしまう〜
兎のしっぽ🐇
1人目のギャル「月城ミサキ」
1-1 オッサン、彼氏持ちギャルと出会う
俺、こと
28歳の誕生日を3週間後に控えた7月中旬。いつも通り仕事を終え、いつもと同じ時間に最寄駅へ到着。いつもと同じように駅近のスーパーへ向かおうとしていた俺は……
「あの、すみません」
あろうことか、前を歩く半袖スクールシャツの女子高生に声をかけていた。
「……ふんっ」
帰宅ラッシュの始まった夕方の駅前をぐんぐん突き進む女子高生から返事はない。
身長は俺より15センチほど低い160センチぐらい。頭が小さくスレンダーな体型で、ミニスカートから美肌極まる白い脚がスラリと伸びている。髪はセミロングの明るい金髪でピンク色のメッシュが入っている。スタイルの良さも相まってとても目立つ。
そう、彼女はギャルである。それもゴリゴリの
27年間生きてきて、まったく関わることのなかった未知の生物相手にちゃんとコミュニケーションが取れるかどうか……いささか不安ではあるが、もう一度声をかける。
「あの、すみません」
「ふんっ……」
また無視されてしまった。めげずにもう一度声をかけてみる。
「あの」
「あーし、急いでるんで」
返事は返ってきたものの、ギャルの歩調が早まる。
「あっ、ちょっと!?」
遅れず彼女について行こうとする俺の手には『ピンク色のスマホ』が握られている。
ことの始まりは約1分前。
今週もようやく仕事が終わり、土日は何をして過ごそうか? 一緒に出かける恋人もいないし、いつもどおり料理や筋トレをして貴重な休みが終わりそうだな……
「はぁ……寂しい……」
などと独り身の人生を憂いながらスーパーへ向かっていたところ、たまたま前を歩いていた女子高生のスカートのポケットからスマホが滑り落ちるのを目撃した。
本人は気づいていなさそうだったので、すぐにスマホを拾い上げ、普通に声をかけたつもりが、なぜか振り向いてすらもらえなかった。
そのまま夕方の駅前で追いかけっこが始まってしまい――
「あのー」
今に至るというわけだ。もちろん名前は知らないし、顔すらまともに見ていない。
「ちょっと待ってくださいって」
「待たないし。だって、あーし、彼氏いるし。彼氏と超ラブラブだし。
たぶんあれだ。ナンパだと思われている。しかもオッサンって……。
自分で言うのもなんだが、顔はわりとあっさり系で、イケメンではないにしろ中の上ぐらいはあると思っていたからわりとショックだ。
まあ17、8歳の高校生からしたら20代後半のサラリーマンなんてオッサンに見えるかもしれないけど、そこはせめて『お兄さん』でお願いしたい。
「いや、ナンパじゃないんですって」
「まさか
「ちょッ!?」
声がでかいって!? 人通りも多いのにやめてくれ!? 俺は堪らずギャルの前に回り込み、道を塞ぐ。
「オッサン、しつこいっつーの!!」
「だから、これ! あなたの落とし物です!」
俺はチェーンのハンドストラップがついたピンク色のスマホをギャルの目の前へ持っていく。
「あっ! それ、あーしの!」
ギャルは俺の手からスマホをかっさらうとすぐに画面をチェックし始める。
「スカートのポケットへしまおうとして落ちちゃったみたいです。今後は気をつけてくださいね?……って」
聞いてないな。まったく……。
「ちゃんとお渡ししましたからね? 俺はこれで失礼します」
スマホを見るのに必死なギャルにそれだけ伝えて来た道を戻る。別に急いではいないのに周りの視線があるからか自然と早歩きになっている。
にしても、めちゃくちゃ可愛いかったなぁ。整った顔で目鼻立ちがはっきりしてて、女優かアイドルかと思ったよ。俺の方がだいぶ年上なのに、美人すぎてちょっと緊張しちゃったぐらいだ。
そもそもゴリゴリのギャルと面と向かって話したのなんて生まれて初めてだったし。まあ、さっきのを会話と呼んでいいのか――
「ああああああああああああッッ!?」
って、なにごと!?
大声に振り返ってみると、先ほどのギャルがスマホ片手に慌てふためいている姿が見える。
「ないんだけどっ!?」
ギャルは足元をグルリと見回したあと誰かを探すように辺りをキョロキョロし始める。
「ああッ! いたあーッ!」
おかしいな? 今、俺と目が合ったような……?
「ちょっとッ!! オッサンッ!!」
オッサン!? えっ、俺のこと!?
鼻息を荒くしたギャルが大股で近づいてくる。
「なになにっ!?」
身構える俺の目の前までやって来たギャルが大きな瞳に涙を浮かべながら訴えてくる。
「
「は? ナイ?」
「だから!!」
ギャルはスマホの裏側を俺に見せつける。
「チェーンの
「…………え?」
「一緒に探して!!」
「さ、探す?」
「そお!! こっち来て!!」
半袖同士で腕を組まれる。ギャルのお肌がスベスベモチモチで超気持ちいい……って、違う!
「どこ行くんですか!?」
そのまま俺はあれよあれよという間に駅前広場の端の方まで連れて来られる。
「オッサンはそっち探して! あーしはこっちね!」
初対面のギャルに指示される。
「はい、よーいドン!!」
「いや、よーいドンって……具体的に何を探すんですか?」
「だから、これ!!」
ギャルが指差したのはスマホの裏側のハンドストラップだった。1円玉ほどの金の星が輝いている。
「星が1個無いから探して!」
「えっ……」
嘘だろ……?
俺は駅前の雑踏へ目を向ける。
すでに帰宅ラッシュ真っ只中の状態で、いつどこで落としたかも分からない小さな星の飾りを探せと?
「無理ですって!? そもそも一緒に探すなんてひと言も……」
「見つけてくれたら
「……」
おいおいおい、大の大人がほっぺにチュウごときで引き受けるわけ――
「分かりました!! 必ず見つけ出しましょう!!」
即落ちである。チューのご褒美に即落ちである。
「オッサン、急にノリノリじゃーん!」
ギャルに爆笑される。
「はははっ、そんなことありませんよぉぉー」
まだ探し始めてもいないのに、ニヤニヤが止まらないなぁー!
「……おい」
「はい、どうかしまし……」
って、えぇ……。さっきまでキャピキャピしていたギャルになぜかガンを飛ばされる。
「えーっと……」
俺のほっぺにチューしてくれる(予定の)激かわギャルはいずこへ?
「オッサン……」
「は……はいぃ……」
若干たじろぐ俺に対してギャルは凄みを利かせてくる。
「ニヤニヤしてないで真面目に探せよ?」
「……」
圧がハンパない。
「返事は?」
「あ……はい……頑張りまーす……」
こうして俺は偶然出会った美人女子高生――ときにヤンキーの一面が顔を出すギャル――と共に夕方の駅前で小さな失くし物の捜索を始めるのだった。
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