第5話
やあどうも、最近コンビニ通いを続けている浮浪者の13歳、仮寝です。
金髪の借金を切り崩しながら生活しているけど、そろそろ限界そうなので働こうと思いました。
「君、何歳だい?親は?」
「あ、大丈夫っす、帰ります。」
孤児というステータスはここまで足を引っ張るとは…孤児院に戻っても魔法関連で研究所送りにされそうだし、嫌だなぁ。
そうは言ってもお金は減っていく物。どうにかして稼がないといけないし、どうした物かなぁ…
コンビニの廃棄予定の値下げされたおにぎりを手に取り、今後の事を考えながらレジへと並ぶ。
すると、前の方で騒ぎが起きた。
「な!ん!で!返品できないの!?」
「お客様、それは、その…」
どうやらトラブルが起こったらしい。野次馬根性で見てみると、おばさんが店員に怒鳴っているらしい。
「別に、お金を返してって!言ってるだけなの!店長出してちょうだい!あなたじゃ話にならないわ!!」
「私が…店長です。」
そうか……………頑張れよ、店長さん。
それにしても、一体何を返品しようとしているのだ?
気になったので12個の魔法を重ねて作った魔法、重式『索敵』で見てみる。
…あーなるほど?理解できねぇわ。うん。
「だ!か!ら!アイスが溶けたから交換しろって言ってんのよ!」
「お客様、外は冬ですよ…」
ほんと何でだ?まじで。
ちなみにアイスはバー状のものだ。
ほんと何でかわからない。
思わず、我慢できなくなって列から抜け出しておばさんの所に行ってしまった。
「おばさん、うるさいから後ででも良いか?」
「あ!?だ、誰がおばさんですって!?」
厚化粧がこちらに向く。
こいつの顔の方がアイスに見えてきた。
「おい厚化粧。そんなにお金を返して欲しいって言うなら返して欲しいなりの態度をしめせよ。」
「あ、厚化粧!?」
厚化粧の顔がおかしくなっていく。
僕の顔に、まるで親の仇をみつけたかのように離れない。
…大したことのない相手だし、さっさと終わらせよう。
僕は人差し指を募金箱に向けて厚化粧の目線誘導をする。
「鶏くらいの知能がないようなお前にちょうど良い魔法だ。もらっていけ。『五分間、癇癪を起こしている人間の視界を一点集中させる魔法。』」
厚化粧の目は「助け合って生きて行こう!」と書かれた募金箱を凝視していた。
「えっ?!ちょ、これを早く解きなさい!魔法センターに通報しますよ!?」
「うるさい。重式『遮音』。」
「…!??!?!?!」
何やら喋っているようだが、僕には聞こえない。まぁロクでもない事なんだろう。
「き、君、すごいねぇ?そんな魔法が使えるのかい!あ、レジも対応いたします!」
先程まで相手をしていた店長が話しかけてきた。
どうやら、実用性のある魔法を使ったせいか物珍しい…いや、半ば羨む目で見ている。大人が13歳の子供にそんな目を向けるんだ…。
他の人の会計がが終わって僕の番が来た。(もう一度並びました。)
「さっきはありがとう!…120円です。」
「はい、っと。」
ポケットから小銭を出す。最近、お金にかすっただけで何円玉かすぐにわかるようになってしまった。金に執着するのもほどほどにしとかないとな。
会計を終えて店から出ようとした所で声をかけられた。
「あの、もしかして君、ファミチキのくださいの子だよね?」
思わず後ろを向いてしまった。
何のことだ?ファミチキください…ってああ!
実は、2週間ほど前に疲れていて無意識に『「ファ◯チキください」と対象にテレパシーで伝える事ができる魔法』を使ってしまったのだ。
この店長はその店員から聞いたのだろう。
…まぁ黙っている必要もないしな。うん。
「もしかして、他の店員さんから聞いたのですか?」
「うん、聞いたんだ。」
ファ◯チキくださいってわざわざテレパシーして来たって。
…やっぱり黙っている方がよかったのかも知れない。めっちゃ恥ずかしいわ!
「いや、疲れていたんですよ!マジで!」
「…何で疲れていたのかわからないけど、そんな魔法ってあるんだね?」
それは俺もよく思う。
そんなやりとりをしているとさっきの厚化粧の声が小さくだが、聞こえ始めた。
「…そろそろか。店員さん、お願いがあるんだけどさ…」
そして俺は店員さんに、とあるお願いをして厚化粧から逃げるようにそそくさと店から出たのだった。
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