エイジェンシー


 エイジェンシー



旅の手引きに従って

私は行きます

汽車の煙を吸い込んで

陽が草原を焦がす匂いを嗅いで

窓辺で揺られ

時間と眠りの間で

また揺られ


私 天使

エイジェンシー

プレーンのヨーグルトを

プラのスプーンで掬って

向かいに差し出す

旅の友。


カラカラ笑う客のカバンに

子供の思い出が光っている

旅の手引きに従って

私は行きます

あの人の手と

あの人の手を

繋げるため

噤んだ口に

また揺られ

   

私 天使

エイジェンシー

プレーンのヨーグルトを

プラのスプーンで掬って

向かいに差し出す

旅の友。


向うに見える終着駅からは

昔 街頭を浸していた

つたないピアノの音がしました。

私は行きます

旅の友に

ほの明るい

別れを告げて。

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