アネでエルフで甘い蜜 ~辿り着いた神話の遺跡で、美少女エルフが俺のアネ(姉とは言ってない)になりました。~
ひたかのみつ
第1話 アネになったエルフ
「え、えぇっと。 はじめましてお
「母さん、僕ついに自分のアネが出来たんだ! サキネとは森の洞窟で知りあったんだけどさ! そこがすごい場所で―― 」
ユグの母は非常に混乱していた。
数日帰らなかった14歳の息子が突然、とても美しい神話の種族:エルフを連れて帰ってきたのだ。
しかもユグは、その金髪で耳の長い娘が、自分のアネだと主張している。
「僕、これからの人生はサキネと一緒に頑張る! サキネのこと、ずっと大事にするよ! 」
「えっ! ユグ君?! ちょっと、うれしいけど流石に恥ずかしいよ…… 」
それを聞いて、頬を赤くするエルフの少女。
いったい、どうしてこうなったのか。
2週間前、14歳の少年ユグ・ショラトルは初めての
◆
「母さん! 僕も今年で15歳となりました。 そろそろ、自分のアネを見つけたいのです」
「うーん…… 」
簡素な住宅の小さな部屋の中で、茶髪の少年:ユグ・ショラトルは、焦っていた。
「父さん、分かっています。 アネは簡単に決めるべきものでないこと」
「ユグ。 そんなに焦らなくても、きっとそのうち良いアネが―― 」
「そう言っている間に、友達はみんなアネを持ちました! 」
魔法と剣技の実力はもちろんだが、この世界にはもう一つ、
とても重要なものがあった。 【アネ】だ。
アネとは、簡単に言えば一生を共にする【契約精霊】である。
対象となる精霊の姿は様々で、獣に魚、龍、実体のない幽霊もこれに含まれる。
魔力があれば、意思のない置物さえも、アネになり得る。
アネは契約者に特別な力を付与し、その者の才能を引き出す。
しかし高位のアネとの契約には、大きなリスクも伴う。
「僕の素質だけでは、立派な魔法も剣技も、周囲と差が開くばかりです」
「そんなに焦らなくても、ゆっくり探せばいいんじゃないかしら? 」
「街の中で、相性の良いアネを毎日探して…… それでもだめなんです」
「でも、まだ見つからないのでしょう? 」
「はい。 なので街の外を。 森にある洞窟の奥ならまだ…… 」
「あそこは危険だから絶対にダメよ! 」
母親に止められたユグは、
「わかったよ…… 」
◆
その晩、ユグはひとりで家を抜け出し、荷物を抱えて森へ向かった。
「ごめんなさい、母さん」
森は暗かったが、何度も通った道だったのと、ユグの気分が高揚していたのもあって、迷うことなく抜け出すことができた。
洞窟は深く、危険な生き物も多い。
魔法も剣も未熟でアネもいないユグには、確かにまだ行くべき場所とは言えない。
「でも、行くぞ。 僕のアネを見つけるんだ」
物陰から様子を
その日はここ数年の中でも珍しく、壁から光りキノコが
「運がいいぞ、これが光ってる間は、目の弱い魔物がこっちに近づいてこない」
ユグは、とうとう洞窟の奥地を進み始める。
「ここからは壁の色が違うし、すぐ横に崖もあるな」
しかし、まだ10歩も進まないうちに
「おわっ!! 」
ユグは足を滑らせて、崖に転がり落ちていく。
「うそ! いやだ! 」
背負っていた荷物がバラバラと散っていく。
手を怪我しながら、頑張ってどこかにしがみつこうとするも、そう上手くはずもなく、ユグは全身を打ち付け、意識が遠のく。
そのとき
「……~♪ ……ふ~ん、ふんふ~ん」
遠くから何か聞こえてくる。
それは楽し気で、やさしくて、幸せな気持ちにさせてくれるような、なんとも可愛らしい鼻歌だった。
ユグはその鼻歌を遠くに聞きながら、気を失った。
アネでエルフで甘い蜜 ~辿り着いた神話の遺跡で、美少女エルフが俺のアネ(姉とは言ってない)になりました。~ ひたかのみつ @hitakanomitsu
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