カメはミタ

あきのななぐさ

第1話 カメです。竜宮城から来ました。

 昔から、興味のあることには首を突っ込みたくなる性分。しかも、簡単に首をひっこめるなんてことは出来ない。ただ、その為にずいぶんとひどい目にもあってきた。でも、そのおかげで色々な事を見聞きすることができたのも事実だろう。


 そう、あの浦島太郎との出会いもまたその一部。だから、私は最後まで見届けなくてはならない。


 すでに、おかの時間の流れとは異なる竜宮城にいる浦島太郎。

 その彼がいないおかの様子を。


 もちろん、この事は乙姫様には言ってない。言えば、また叱られるのは目に見えている。でも、聡い乙姫様の事だから、きっと私の行動は全てお見通しなのだと思う。


 浦島太郎を送り届けた時に、ご褒美としてかけられたこの首飾りは、おかの者から絶対に見つからない、完全に身を隠す効果があるのだから――。


 そして、その効果は十分満足のいくものだった。苦も無く村中を見て回り、漁師として優秀な浦島太郎の失踪は、すでに村中に広まっていた事がわかったのだから。


 そして、今――。


 様々な憶測が飛び交う中で、村人たちはついにその事を話し合うことを決めていた。次々とこの場所にやってくる村人たちのその顔は、どれも一様に固まっていた。

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