爆走☆パツキンガール!
喜島 塔
第1話「あー、アンタ、死ぬね」
「あー、あれだね……アンタ、死ぬね」
金色の刺繍が施された黒のフェイスベール、アラブの踊り子のようなセクシーな黒の衣装で身を固めた、齢80歳(自称56億7千歳)の売れっ子占い師“
「えっ? それって……人はいつか必ず死ぬとか……そういった意味ですよ、ね?」
「否、違う! わらわの
あいの大きな瞳から、涙が溢れ出た。
「それで……“輪廻神“様は、私がいつ死ぬと仰っているのですか?」
「待たれよ……“輪廻神”様が何かをわらわに告げようとしておる……」
そう言うと、輪廻眼アタルは、透明の水晶玉に皺々の両手をかざし、
「マダラカグラサスケ、マダラカグラサスケ……輪廻神様……わらわにこの者の未来を見せてたもれ……破―――――――――――!!」
と呪文のような言葉を詠唱すると、
「えいやっ!!」
と叫び、水晶玉をカチ割った。
輪廻眼アタルは、息を切らしながら、あいに伝えた。
「其方の命日は3ヶ月後の◯月×日じゃ……残念ながら、“輪廻神”様のお告げはここまでじゃ」
「そうですか……わかりました。輪廻眼アタル様、仰りにくいことを正直に教えてくださりありがとうございます。残された時間、私、千金楽あいは、悔いの残らぬよう懸命に生きとうございます」
「うむ。さすがは、“
「ええ。
「其方は、まさに、一輪の凛とした薔薇の花のようじゃ……ところで、わらわって、最近テレビのバラエティー番組とかにも出てる今いちばん旬な占い師じゃない? 売れっ子じゃない? わらわに占って欲しい人って余裕で1年待ちとかしてるじゃない? そんなこんなで、わらわの占い料金1分1万円なのね……ていうわけで、今日の御代、30万円になるんだけど、よろしいかね?」
「もちろんですわ! じいや! 輪廻眼様に御代をお支払いしてさしあげて」
あいの傍に待機していた、黒スーツに白手袋、銀髪の老執事は、涙をハンケチでそっと拭いながら、
「かしこまりました。お嬢様」
と言って、スマートに支払いを済ませた。
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