第6話 メッセージ
みなさんは一日のうち、LINEやSNSでメッセージにどれくらいの時間を割いていますか?
これを読んでくださっている方は、何かしら文章に関わっていると思うので、わりとサクっと書いているのかもと思うし、逆にかなり気を遣っているのかもとも思います。
私はとにかく時間がかかる。自分で書いていてバカなんじゃないかと思う。書きつつ、主語と述語の関係がおかしいなとか、そもそも主語が曖昧だったりすることが多い。加えて誤解がないようにと思うので、余計な心配をして文が長くなる。
書いている途中に誤送信するのが怖くて、SNSとは別のエディタを開いて書くことも多い。一日のうち数時間はメッセージに充てている気がします。その時間を執筆に充てればとも思うけど、人とコミュニケーションするのが好きなんですよね……
この癖がついたのは、前職の会社がWEBサイトのユーザビリティ改善などを得意としていたからです。実際の仕事のみならず、メールなども逐一確認されていました。わりと文章を書くことは得意だと思っていたので、かなりきつかった。
けれど「うまく働く」文章の書き方みたいなものを教わったなと思います。うまく働くというのは、それを読んだ人が内容を理解するだけではなく、気持ちよく仕事をしたくなるみたいなものも含まれています。学校では論文、今は小説を書いているので、実行力みたいなものへの意識は希薄だったと反省しています。
そんなわけで、小説を書いていても有用な文章については常に念頭においてます。読者にどう感じて欲しいのか、読んでいて疲れないか、誤字脱字はないか、説明は適切かなどです。私はこれを勝手に「ユーザビリティ」と呼んでいます。
例えば京極夏彦さんの小説は文章がページをまたがないように書かれている。編集などはかなり大変だと聞くけれど、まさにこれがユーザビリティだと思います。京極さんはもともとデザインもできる方なので、そういうことに目が行くのだと思います。いつかやってみたい。
ユーザビリティって横文字で書くと冷たく見えるけど、言い換えると「心づくし」だと思うんですよね。この言葉は太宰治の文章から拝借しています。
「文学に於て、最も大事なものは、「心づくし」というものである。〔……〕作者のその「心づくし」が読者に通じたとき、文学の永遠性とか、或いは文学のありがたさとか、うれしさとか、そういったようなものが始めて成立するのであると思う。」
太宰治『如是我聞』
こういう気持ちを大切にしたいですね。
清原 紫
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