任務:血刃を乱射する男を裁け
「なァ、アレは[爆賛會]の邪魔をしに来た犬か?それとも迷い込んじまった阿呆か?」
「関係あるかい?どのみち彼は死ぬよ」
「ははっ、そりゃそうだ。強そうには見えねえし、俺一人でもどうにかなっちまいそうだぜ?」
「…万が一に備えて、この血刃を渡しておこう」
「見てろよ?どうせ杞憂に終わんだからな」
―――
系糸は、次の標的の元に向かっていた。
「定目?乱射とか、狙い定める気無いでしょ」
連血糸刃をぶんぶん振り回しながら、系糸は歩いている。一見余裕のようだが内心は焦っており、顔には冷や汗が垂れていた。
「血刃を撃ちまくるんでしょ?血液消費やばいことになりそうだけど」
しばらくすると、ぶつぶつ言っていた系糸は突如足を止め、多数のマンションの一角を睨んだ。
(気配。何か来る!)
直後、系糸目掛けて数本の血刃が飛来し、彼の足元に刺さった。
系糸は成務票を確認する。どうやら彼は既に標的の近くまで来ており、相手は迎撃に入ったのだ。
「捕捉されちゃってるのか…いや、刃血鬼の動体視力なら」
系糸はほとんど躊躇なく、前方へ飛び出した。
「さっさと距離を詰めたいし…使うかな」
系糸は沸血を発動し、マンションの外壁に向けて血刃を投げた。そして即座に左手の平に傷を入れて糸を繋ぎ、一気に壁に移動する。
「いちいち探すのも面倒だしな…あ、そうだ」
系糸は壁に張り付いたまま、スマホを取り出して震奮に連絡した。
系糸から入った唐突な救難信号を受け入れてマンションに到着した震奮は、一階に大量の血刃を仕掛けて
「というわけで、ありがとうございました」
「礼には及ばねえよ。心做とか紅亡のやつならともかく、お前に頼られるのに悪い気はしねえ」
お礼を言われて、震奮が照れている最中。今となってはただの瓦礫の山と化したビルの中から、一人の男が這い出してきた。
「てめェら…」
「震奮さん、下がってください」
「いいのか?手伝わなくて」
「大丈夫です。標的そのものの処理は僕がやりますから」
「わかった。無理すんじゃねえぞ?」
「はい!」
威勢の良い返事を受け取って、震奮は去っていった。対峙するのは、残る二人のみ。
「…さて、話は済んだ。本気で行くよ」
「そうかい…なら、来てみろってんだよ!!」
男――定目乱は右手を開き、前に突き出した。
(乱射…なるほど、そういうことか)
察知した系糸は血刃を投げて、いつものように捕縛を試みる。
「糸か?縛ろうっつったってそうはさせねえ!」
乱は水平方向に伸びた糸をくぐり、手の平から無数の血刃を射出した。
(予想はついていた)
系糸は投げた血刃を少し引き寄せ、右手で連血糸刃を作成。飛んできた血刃を避けて距離を詰めた。
(あれはリパルサーレイみたいな、手から発射するタイプの刃術。中距離戦メインの僕とは相性が悪いな…)
連血糸刃を振り回しながら接近し、素早く血刃を引き抜いて左手で持つ。そのままアンダースローで投げつけた。
(今なら!)
ほんの一瞬だけ注意を引かせた隙に、連血糸刃を伸ばしてもう一度捕縛を試みた。
「捕縛血糸!」
「しまっ…」
た、と言い終わる前に乱は捕まり、「うらァ!」という系糸の掛け声と共に、地面に叩きつけられた。
「完了だ。後はトドメを刺して…」
刹那、乱の頭から血が吹き出した。
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