転生のエンジェル!面倒臭いのでプレゼントしちゃいます!
アーカムの住人
第1話 金髪のエンジェルが転生させてくれるらしい
ある日、俺は電車に轢かれて死んでしまった。
駅のホームで電車を待っていた俺の背中を突然誰かが押したのだ。
ホーム下に転落した所に電車が入ってきた。
目の前に迫る猛烈な勢いの電車の車輪が日本での最後の記憶だ。
日本でのと言うのは、電車に轢かれたはずの俺は何故か雲の中の世界のような場所に居たからだ。
そして俺の目の前、数歩先には背中に黄金の翼がある白衣の女性が居てこちらをじっと見ていた。
容姿は美しく瞳は青く輝いている。年齢は20歳くらいだろうか?
普段の生活ではお目にかかれない高貴な女性に思えるが、背中に羽がついたワンピースなんてちょっと頭のネジが俺とは違うのかもしれない。
「ここはどこなんだ? そして君は何故そんなコスプレをしてるんだ?」
「コスプレではありません。私は女神アルデ様の使徒カリンです。貴方はG15374世界の生を終え、魂の状態になっています」
「俺が魂!?何バカな事言ってるんだよ。その天使みたいな服といい、ちょっと頭おかしいんじゃないか?」
俺は大袈裟に手を額につけて笑ってやった••••。
手を額につけて、、、、。
え?
あれ?!!!
「えっ!手がない!!!足もない!」
体が見えないのだ。ゆ、夢なのか?
「私の頭はおかしくありませんよ。あなたは魂になったのです。」
「お、俺は死んだのか!? で、電車に轢かれて!!」
電車に轢かれる恐怖の瞬間を思い出してしまった。
電車に頭を轢かれて死なない人間はいないだろう。俺は死んだのだ。
「しかし、貴方は生前とても良い行いをしましたので、アルデ様の作ったルールにより記憶を持ったまま新しい生を与える事になりました。
それを我々は転生と呼んでおります」
「良い行い!?転生!?もしかして俺は生き返れるのか!?」
「はい。では良い人生を♪」
「も、もう?」
目の前が真っ白になる。
——————
気がつくと俺は草原で1人立ち尽くしていた。
俺は思わず自分の手をマジマジと見つめる。
なんだ!手も足もある!!
手の特徴も服装も生きていた頃と同じだ。
顔はわからないが、肉体は同じなのであれば顔も同じなのだろう。
良かった。
いきなり電車に轢かれて人生を終えるなんて嫌だからな。
でもここはどこなんだろう?
とりあえず人が居そうな方向に進むか。
俺は人を探して歩き出す事にした。
だだっ広い草原をしばらく歩いたが、草原には人や住居などの人工物を見つける事ができなかった。
誰もいない世界で生きていけるほど俺は強くはない。もしかしてこの世界に人はいないなんて事はないだろうな?
草原には終わりがあった。突然森が現れたのだ。もしかしたら森には誰かが暮らしているのかも知れない。
俺は森を探索する事にした。
森に入って20分くらい経った時、人が走っている様な音が聞こえてくる。
しかも数が多い。集団で走っている人がいるのだ。恐らくこの近くに村でもあるのでは無いだろうか?
人がいる!!やった!!
沢山の人の足音に俺は安堵する。
「おーい!!」
俺はそう叫びながら足音の方へ駆けていく。
「グァア〜!!」「ギャギャ!」
しかし、現れたのは人間とは違う背の低い鬼のような姿をした集団だった。
緑色の皮膚をして頭にツノを生やした1〜1.2mほどの身長の小鬼の集団。
俺を見つけたそいつらが棍棒を振り上げ俺の方に向かってくる。
「なんなんだこいつら〜!!」
俺は恐怖に駆られて反対側に走り出した。子供サイズだが棍棒を振り回す集団に捕まればなぶり殺しにあうだろう。
しかし小鬼達の足は意外と早いかった。
100mほど全力疾走すると、息が上がり走るスピードが急激に下がる。
と、すぐに肩に衝撃がはしる。
「ぐぁ!」
俺はその衝撃でその場に倒れ込んだ。
ドスッ!
次に右手に激痛がはしる。
ドスッ!
背中に激痛がはしる。
ドスッ!
首の骨が折れたのだろう。首に激痛がはしるが、体の痛みは無くなった。
俺の心を恐怖だけが支配する。
そして俺は向きたくもない方向に顔が向き、小鬼の顔が間近に迫ったところで意識を失った。
——————
背中に黄金の翼を生やした白衣の女性がそこにいた。
先ほどの何たらの女神の使徒だという女性だ。
「早すぎないですか??」
「俺は??死んだのか?」
「そうです。新しい人生の時間が2時間ほどですよ??
早すぎでしょう。そう言う魂って面倒臭いんですよね。」
「鬼、鬼がいたんだぞ!」
俺はまだ死に間際の恐怖で、あるはずもない心臓がドキドキしてそう叫ぶ。
「世の中にはいろんな世界がありますので。鬼がいる世界もあるでしょう。」
「そんな所で生きていけるか!!そんなふざけた世界ならせめて魔法ぐらい使わせろ!」
「何を勝手な事を。
でも面倒臭いので、魔法が使える杖をプレゼントしちゃいますね。
今度は生き延びてください。
では、行ってらっしゃい。」
目の前が真っ白になる。
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