憂鬱二散ッタ者達へ
kamo_f
第1話
「捕まえろ!!絶対逃すなよ!!いいか!逃したら死
ぬと思え!!」
「隊長!!シュテンの野郎、森の中に逃げ込むつもりです」
「なにい??門番はどうした?」
「突破されてしまいました」
「まあ、鬼神相手によくやった方か……、本隊が到着するまで何とか足止めするぞ」
「はっっ!!」
____
「逃げ切れたか・・・」
息が乱れる。どうにかして今の状況を把握しようと必死に頭を働かせる
俺の前世は引きこもりだった、四年ぶりに外に出てみたら居眠り運転のトラックに
(なんてしょうもない人生なんだ)
そしてこの
時は三時間前に遡る。
____
この国の王の
(姫様と悟浄どの??)
心臓がバクバクして動悸が止まらない。何故かわからないがあとをつけたら一生後悔する気がした
(ダメだ、絶対だめだ)
脳はそう言っているのに足が勝手に動く。
(なんだあの建物)
二人が見たことない建物に入っていく、身体が言うことを聞かずあとをつけてしまう。
(こんな建物があるなんて聞いたことないぞ)
二人の話しが
「今年はダメダメでしたね」
「そうじゃのう、使い物にならないやつらばっかりじゃ」
(何の話をしているんだ?)
「シュテンはそろそろ
(ん?)
自分の名前が出たことに戸惑いを隠せず、もっとしっかり聞きたいと思いぎりぎりまで近づく。
二人の他にもう一つ何かがあることに気づく。
(子ども、、、、?ぐ、、、、、!)
突然猛烈な頭痛に襲われる、立っていられなくなり思わずしゃがみ込む。
(頭が割れそうだ)
「ん?誰かいるのか??!」
悟浄が
(まずい、ばれる)
急いで逃げようとするがあまりの頭痛の酷さに立ち上がれない。足音が大きくなる。
「シュテン!!」
悟浄と目が合う
(まずい、くそ頭が痛い。割れそうだ)
「いつからここにいた?!」
だんだん視界がかすみ目の前の顔を認識できなくなる。
「違うんだ、これは」
必死に弁解しようと口を動かすが意識がもうろうとして上手く口が動かない
「いつからだ?!」
目の前の普段滅多に感情を表に出さない冷静な上司が俺の胸ぐらをつかむ、今の状況がそこそこまずいことを理解する。誤解を解こうとするが更に意識が飛びそうになる。
「だから、なくぁんいもまいjdn、、、」
プツン
______
「なんでこうなったんだろう」
暗い部屋で何度もその言葉を繰り返す、大学受験に失敗したあの日から俺の人生は一変した。いやほんとはずっと心の中にあったんだ。それに向き合うのがどうしても怖くてずっと蓋をしていた。大学受験の失敗はあくまできっかけに過ぎなかった。
昔から見栄っ張りでプライドが高くずる賢い。当然そんな奴に友達なんかできるはずもなく孤独とも長い付き合いだ。頑張ることが大嫌いで常に自分の中で下を作り見下し安心する、
「この先どうするんだろうな」
当時同級生だった奴らは皆新しい人生を歩んでる、まだ高校生なのは俺だけだ。数少ない友人と言っていいかわからない奴らもみんな離れていった。
毎日毎日灰色だった高校生活の夢を見て身体が熱くなり変な汗をかく、そして
その日は久しぶりに父親の顔をみることになった。きっかけは冷蔵庫にあった父親のチーズを俺が食べてしまった。我慢の限界だったんだろう、物凄い勢いで自室のドアが開いたと思ったら顔真っ赤にした父親がゴルフクラブを持って部屋に入ってきて俺の机を何回も殴った。申し訳なさと気まずさに耐えれず勢いで靴を履き外に飛び出した。
一年で一番寒い雪が降る日に上着も持たず外に出たのは
「寒すぎる」
久しぶりに外に出たことによりアドレナリンがでてるのか
(ここが天竺か)
そう思いコンビニ入ろうとするとガラス越しの醜い豚と目が合う。ここ四年で数十キロは余裕で増えたであろう体重、荒れ果てた髭、気持ち悪いくらい伸びた髪。
「こんなの俺じゃない」
目の前の現実が受け止められず無我夢中になって走り出すが二分もしないうちに息が切れ、途端に四年をどぶに捨てた事実が肩に重くのしかかる。
「もういっそのこと殺してくれ」
その願いが届いたのかわからないが、数秒後俺がいたであろう歩道にトラックが突っ込んできた。
寒さを感じていた身体がだんだんと感覚がなくなっていく。
(そうか俺死ぬのか)
「ごめんなさい」
誰に向けたかわからない謝罪を吐き二度とさめることのない眠りにつく。
また何事もなかったかのようにしんしんと雪がふりつづける。
____
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