第4話 俺の体になにか用でも????

「……じゃあ僕外行ってくるね……」


「だ、大丈夫?」


「じゃあいってらっしゃい!気を付けてね。女の人には気を付けるのよ!」


「うん!じゃあ行ってくるね!」


俺は玄関の扉を開ける。

そして人生(二回目)初外に出ることができた。


俺は辺りを見渡す。

そして違和感に気が付く。


……ッ!?太陽が……二つ!?


そう、ここにいる人にとっての常識が俺の世界とはそりゃ違う。

しかし……太陽が二つ?


もしかしたらこの星は地球のように回っているのではなく、太陽が回っているのかもしれない。


つまりこの星が中心ということだ。


「……まじか……」


「ねぇ……あの人の……男の子じゃ……の?」


「そうだよね……?」


……通行人は女の人ばかり。

その女性たちはまだ4歳の俺を見つめる。

しかも俺にでもわかる程度の「性的」な目でだ。


「……まじでこの世界……いや……仕方ないのか……多分俺の体ではなく成長した後のことだろう……そう信じよう……信じないと……」


「あの~?」


俺に20代くらいの女性が話しかけてくる。


「ボク?今日はどこに行くの?」


俺は多分このままだと誘拐される。

というかそのままだと連れ去られるだろうな……


俺は爆速で逃げた。


女性は俺のことを追いかけようとするが近くに潜む母さんにやられる。


まぁ多分頭にチョップ食らわせてたけど……俺にばれてないと思ってるだろうな……


まぁちょっと隠れて待ってましょう。


「……あの子……どこにいったのかしら……?」


「大丈夫だよ。あの子なら——」


「そんなわけないでしょ!?年々被害は増えてるんだから!」


「は、はい……」


尻敷かれてるなぁ……


「まったく……男って本当に危機感が足りないわね……」


「マリア……」


「大丈夫。私がついてるんだからあなたは絶対離さないわよ。そんなこといよりファンドを探しましょ?」


「う、うん!」


……いいな……多分本当の親だったら気持ち悪いとか感想がでるだろうけど

まぁ……本当の親だけど……多分他人として俺が見てしまってるからなんだろうな……


俺の他人じゃない人はきっと母さんだけだ。

多分これは変わらない……かな?


「きっと……教会は……こっちかな?」


父さんから教えてもらった教会への地図を見る。


「えっと……こっちかな……?」


俺は父からもらった地図を思い出す。


そして住宅街を抜け、大通りに出る。


「……す、すごい……ッ!」


人の数は多いのだが異種族が混ざって歩いている。

おそらくエルフやドワーフなど。小説でみたような種族が本当に歩いている。


しかし歩いているのは女性ばかり。また顔はみんな美人である。


「……やばすぎるだろこの世界……顔面偏差値やば……ッ」


「少年。」


「ッ!?」


俺は後ろから女性の声で呼びかけられ後ろを振り向く。


「君は……どうしてここにいるのかな?男の子がこんな場所で一人。危ないぞ?」


その女性は日本でいう警察のような恰好?いや軍服だ。

胸に家で見たことがある「紋章」がつけてある。

確か……


「エルドルド領の紋章……軍服……もしかして領主様の部下様ですか?」


「ッ!?少年……賢いな……まだ4、5歳くらいだろう?」


エルドルド領とはこの町のことである。

この領を治めているのがエルドルドという人らしい。

その領主様が俺たちに配っているのが「エルドルド紋」である。

その紋があればエルドルドの加護を受けているという証明になるからだ。


「ええ、しかしながらそのような恐れ多きお方がなぜ僕などにお話を……?」


「ほう……敬語ができていて受け答えもしっかりできている、私の立場を理解していてそれに準じて態度を変えていると見た。少年。私の子にならないか?」


さすがの洞察力だ。

俺の心を読むとは……

そんなにわかりやすいかなぁ……


「いえいえそんな恐れ多いです。それに僕はまだ4歳でございます。あなた様の納得できる仕事などできるはずもございませんし、僕には母と父がおりますので……」


「お前は父と母にそのしゃべり方を教わったのか?」


「いえ、独学でございます。」


もしこの女につけられて母がばれたらボロがでかねん。

それにこの女はまずいだろう。


しかし……善人の雰囲気がするんだよなぁ……

いやこれは俺の偏見だ。それですぐ騙されたりするからな……


ここは、日本ではない。気を引き締めないと……


でも、この女性なら町のことをある程度把握していそうだな……

教会のことを聞いてみようかな……


「あの……」


「ん?なんだ?」


「できれば教会がどこか教えていただけませんか?」


「……少年は神を信じているのか?」


「……ええ……そうでございます。一度教会に行ってみたいと思いまして……」


こんな厳かな話し方をしているが4歳の少年のため威厳もくそもないが……


その女性はにやりと笑いながら俺に話しかける。


「いいわ。なんなら私が送ってあげる……その代わり……」


その女性は俺を肩車してくれる。


「少しお願い事を聞いてちょうだい!」


彼女は浮遊する。

おそらく魔法だろう。


こういう世界だと脳が認識してもやはりすごいな……この世界で初めて見た……


「これが魔法だ少年。」


「す、すごい……ッ!」


「ハハッ……また用事があったら私に声をかけてくれ。まぁ勤務中だったら少し時間がかかると思うが……」


「ありがとうございます……」


彼女はにこっと笑う。

俺はその笑顔を見て素直にかわいいと思ってしまった。

思ってしまったってなんだよ(笑)……


彼女はゆっくりと浮遊してある方向に向かっているのだ。


おそらく教会の方面だろう。


「あなた様が……優しくてよかったです……」


「……いつぶりだろうな……優しいなんて言われたのは……」


俺は意識が朦朧としてくる。

おそらくここが上空で空気が薄いからだろう……


「すみません……少し寝ます……ついたら……教えて……」


「ああ……ゆっくり寝ていてくれ……ゆっくりな。」


彼女の言葉に少し違和感を覚えたが俺は意識を手放して眠りに入った。


第4話終わり






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