こだわりって困りません?

@tenjiku05

第1話

 「こだわり」というものは、程度は違えど誰しも持っているものでしょう。

 また、一口にこだわりと言っても、その内にはきっと人に説明できないほど曖昧なものもあります。


 その日、私はいつも着けているアンクレットを外しました。風呂上がり、布団に寝転がりながらのことです。無意識に足で外していたようでしたが、それを手に持ったとき初めてある疑問が浮かびました。


「あれ、私これどっちの足に着けてたっけ」


 これは一大事。ただどちらかの足に着ければいいのですが、それができたら苦労はしないというものです。


 私は、ものやことを「ずっと同じ状態にしておきたい」というこだわりがあり、それは「究極的に変化を嫌う」とも言えるほど強いものだったりするわけです。

 

 今回では、アンクレットを元々着けていた方の足に着けなければ気が済まない。


 ですから、私はそれに気が付いたとき、なんとかしてどちらかの足だけにあるはずの「証拠」を探し出そうとしました。

 そうして見つかったのが、左の足首にあるアンクレットの紐の跡です。


 「なら左足だったんじゃない」

そう思って左足に着けてみるのですが、どうもしっくりこない。


 そもそも、私はアンクレットをいつも着けているとお話ししましたが、「いつも」とは言っても外すことは度々ありました。

 例えば、サッカーをするときです。アンクレットに付いている蛍石が足に当たるといけないから、と毎度外していました。

 他に、私の通っている学校ではアクセサリーの類が禁止されているので、学校に行く間は着けられず、結局1日の中で何度か着け外しをしていました。


 私は「強いこだわりがある」だなんて言うくせに、特に理由もなく最初の決定をしてしまいます。そのせいでしょうか。

 何度もやっていれば、特に「こだわり」を意識していない始めの方で、間違いが起きます。こうなってしまうと、もう正解なんて誰にもわかりません。


 左か、右か。何度も着け直しながら悩んでいました。何度目かで、これはただ直感でなんとなくとしか言えませんが、

「左は間違いで、右が正解だ。けれども、自分は最近、ほぼずっと左足に着けていた」

なんてことがわかってきました。


 これは困ります。どちらの足に着けてもしっくりこないのです。

 あまりに気になるので、その日はアンクレットを外して寝ました。


 そして、しばらく経っても結局どちらに着けていたかわからなかったので、今はとりあえず右足に着けています。

 それでも、違和感があると左足に着け直したりするので、なんだかはっきりしません。


 どなたか私のような「こだわり」を持つ方や、この違和感の拭い方を知っている方はぜひ教えてください。本当、困ったものですね。

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