ポチが増えた理由

第1話

　ある日突然、ポチが増えた。

　どうしてか分からないけれど、増えてしまった。

「わん」

「わん」

　どっちかが偽物だと思ったけど、どっちも本物だと思う。

　お母さんとお父さんは、どっちか捨ててきなさいっていいけど、どっちも太朗だからそんな事できないよ。

　困ったな。

　だってポチは家族なんだから。

　言葉が通じなくても、ペットでも、僕たちの家族なんだから。

　捨てるだなんて、そんな事できるわけがない。

　でも、いったいどうして増えたんだろう。

　僕、ポチ。

　なんだか、増えちゃったみたい。

　隣に僕がいる。

「わん」

「わん」

　お昼寝してる時に、神様とかいう人が夢に出てきたから。

　願い事をかなえてあげるって言われて、双子がほしいですって言っちゃったからかな。

　だってよーた君、双子が欲しいっていってたから。

　双子って何だろうって思ってたけど、同じ顔の生き物が増えるってことだったんだ。

　困ったなぁ。

　それだったら、神様にお願いする時、よーた君の双子がほしいっていえばよかったな。