バカなくせに、魔法検定では一級らしいです。

茶らん

体育館、破壊。

第1話 魔法使いはバカです!

「あちゃ〜、やらかしたっぜ!えへへ。」

箒に乗りながら、下を見下ろす。

体育館の屋根やバスケットゴールが落ちて、床を突きに抜けている。それに、何やら謎の気体が発生しており、霧みたいなものが発生している。


風に揺られながら、彼女はその大きな帽子を手で押さえる。


「ま、なんとかなるっしょ?」

そんな独り言を呟いていると、スマホが鳴る。

「うげっ、バレた?」

恐る恐る鳴っているスマホを取り出すと、そこには『あきら』という人から電話がかかっていた。

「やっべ。あいつ、勘だけはいいんだよね〜」

そう言って、電話に出ることなく、通話を切るボタンを押す。

「だるいしね。」

彼女はそう言って、箒を傾け、空高く飛んでいった。




その頃。

「ったく、あいつ。こっちでは大騒ぎだっつの。気まぐれでやったんだろうけど。」

スマホの切るボタンを押し、ため息をこぼす。

教室では、クラスの全員が体育館の方を見ようと、窓から顔を出していた。

「はあ、こんな寒い時期に窓を開けるなんてよ。バカかよ。」

と呟く。

そう言っている間に、担任の先生が顔を真っ青にして、教室に入ってきた。

「皆さん、一旦落ち着いて席につきなさい。」

俺はいつでも落ち着いているわ。やった奴、知っているからな。なんて思ったが、おとなしく先生の話を聞いて席に着いた。

クラスの奴らも席に座る。

「皆さん、まずは外に出ます。事情は校長先生がお話になるので、それまでは黙って、移動しますよ。」

ゾロゾロと廊下に出されていく俺たち。その時、先生の顔色がさらに悪くなる。

「ちょ、ん?魔白さんは?」

俺はドキッとした。いや、ときめいた方ではなく、驚いた方だ。俺も冷や汗が出始める。

「あいつ、帰ってきてねえのか?てか、ちょっと待て。」

電話も切られた。つまり、何かあったんじゃ…?

俺も顔色が悪くなる。というか、気分が悪くなってきた。

「まずい。」

また、ボソリと呟く。

その言葉を聞き取ったのか、一人の女子がこちらを見て、首を傾げながら、「どうしたの?」と聞いてくる。

「あ、いや、なんでも…」

あのバカ、終わったらいつも連絡しろって…そんなことを思いながら、もう一度、電話をかける…




「んあ?またかかってきてんじゃん…だるうう…」

しょうがなそうな顔をしながら、電話に出る。

「はー…」

「魔白⁉︎」

うわ、声でっか。

「何んだよ〜」

「なんだよ、じゃねえよバカ!お前がしでかしてくれたおかげで、こっちは大騒ぎだわ!それに、今、先生がお前がいないことに気づいて、キャパオーバーになって倒れそうなんだよ、いいからとっとと帰って来い!」

「めんどい。」

「バカ!いいから帰ってこいって!そんなこと言うな!」

「うう…わかった…帰るよ…」

そう言って、電話を切る。

「はあ、帰るか。」

そう呟いて、彼女は方向を変えて学校へと向かった。




「せ、先生!」

「な、なんだね?大堀くん。」

「今、魔白と電話がつながって、どうやらお手洗いらしいです。」

「そうか…じゃあ、待とう…」

先生すらも物事をよく考えられていない様子だった。

ひたすらに俺は願った、とにかく、早く来てくれと。

「お待たせしましたって、やべ!」

俺の背後から声がして、俺は振り向いた。あいつはバカだ。あのでっかい帽子を被りながら、箒を持って帰ってきやがった。

まだあいつの方を振り向いた奴はいない。

「隠せ!早く!」

「わかってるって。ちょっと離れて。ラディレン。」

そう言って帽子と箒は一瞬で消えた。

「あ、魔白さん、きました!先生!」

一人の男子が気づいて、先生に向かって言った。

「ふう、間に合った。」

「そんな焦んなよ、あきら。」

「いや、焦るだろ。ったく、」

「お前も手伝ってくれても良かったんだよ?」

「嫌だね。俺は、もう使わないって決めてんだ。」

「あ、そ。」

そんな会話をしていると、先生が急いで外に出ようと、みんなを急がせた。



「ほんと、お前はバカだな。もうちょっと考えろよ、それでも魔法使い一級なんですかね?」

「うるさい。」

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