小夜の館③
新しい家をもらい、そして愛らしすぎる家族を手に入れた小夜は、居座り続けようとするヴィルヘルムをどうにか追い出し、エルフェリンと厨房でお湯を沸かし、大きなたらいで体を洗った。エルフェリンは初めての入浴であったようだが、小夜が一緒にたらいの湯につかると大人しく体を洗われるに任せた。久しぶりの入浴をエルフェリンとすませ、配給されたチュニックのような長いトップスを羽織り、エルフェリンにも新しい黒いワンピースに着替えさせ、小夜だけズボンを履いた。どうやらヴェルナーやテオドールと同じ洋服のサイズ違いのようだ。新しい言う服に着替えたころ、夕食が配給された。合図を聞いてドアを開けると配送者はおらず、藤で編んだようなバスケットに白っぽいパンが並び、鍋が二つ、ビールが入った水差しが置かれていた。
≪この世界も、置き配なんだ。≫
そんな感想を胸に小夜は夕食を運び込んだ。どうやら小夜の食事は白いパンとソーセージや野菜を煮込んだスープ、それとビールであったようだが、エルフェリンのは兵士たちと同じチーズと一緒に煮込んだ大麦粥であった。どうやら小夜は『術師』と同じ扱いを受けているようだが、二人は仲良くお互いの食事を分け合い、暗くなる前に二階の寝室に置かれたベッドに二人でもぐりこんだ。
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