城塞都市オストプロシア

 小夜とヴィルヘルムが住む町、城塞都市オストプロシア。そこはプロイゼ帝国と呼ばれる国の最東端、まさに人間世界が猪頭鬼オークに相対する東の最前線に位置していた。以前は最前線ではなかったのだが、オストプロシアよりも東にあった城塞都市は猪頭鬼オークに奪われ、破壊され、その城塞都市から人間はいなくなった今ここが最前線となっている。猪頭鬼オークが街を制圧した場合、町中の食べ物を食い尽くし、家畜を食べ尽くし、飲料をすべて飲み尽くした後、男性と年寄りは主に食材とされ、女性は繁殖に利用された後に同じ運命を辿る。そうやって猪頭鬼オークの侵入を許した城塞都市は数年で廃墟と化す。人間が牛馬を飼うが如く、生かしておいて飼育する、そんな考えは猪頭鬼オークの中に存在しなかった。

 都市の西側に高い山が連なり、その隙間を縫うような回廊の入り口とも言うべき場所に城塞都市オストプロシアは存在した。この回廊を西に向かえばプロイゼ帝国中心に行き着く。そして西側を天然の要塞に守られた城塞都市オストプロシアは、その東側のみを城壁で囲われている。城塞都市オストプロシアはまさにプロイゼ帝国の、人間世界の大事な東の要衝ようしょうであった。

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