希求
己のものとして言葉を消費するなら、それはたちまち尽きてしまうだろう。何かに言葉を与えるなら、また多くの言葉を得るだろう。
花に、空に、木々のざわめきに、轟く雷鳴に、いにしえ人がそれらに意味を与えた時、またそれらを怖れた時、人々は言葉を作った。
浅はかにも、それらの事象が自分達の理解のうちにあると思いたかったからだ。
しかし表現とは理解ではない。まだそうしたことすら分からない時代だったのだ。だが畏怖と敬服の念は持っていた。理解の及ばぬものを知ろうとはしなかった。
何故ならそれは冒涜であったからだ。だから人々はより多くの言葉を用いた。より深く怖れるために、より深く愛するために、人々はさらに多くの言葉を求めた。
私もまた言葉を求めている。たった一つ、それさえあればいいのだが。幾つもの夜を捧げて、今尚も探し求めている。あなたのための言葉を、私のうちに求めている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます