詩の季節


 今は待たなければならない。

 いつかの過去が粉々に砕けて溶けてゆくのを。

 散らばった幾つもの断片が一つとなるのを。

 そして、それがいつかの詩となる時を私は待っている。


 花冠を戴いていた頃、

 舞い落ちる雪を小さな窓から眺めていた頃、

 草原を撫でるなごやかな風のやさしい香り、

 夏の盛りの雨。


 私が安楽椅子に揺られる頃、それらは詩になる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る