名門校の劣等生

章魚蘭

劣等生三人組

プロローグ

この世界は狂ってる。ほんとにどうかしてる。なぜかって?説明しよう!この世界は生まれてから二ヶ月が経つと神殿に行って神様から「能力」をもらう。例えば、火を操る能力、姿を消す能力、動物になる能力。その種類は多種多様で誰一人として能力の種類はかぶらない。神様は万能だから今まで与えた能力の種類を全て記憶していて被ることはないらしい。ほんとチートでしょ。あと神様は能力を与えるだけでなく、与えた能力に応じてその子供に階級も与える。階級は三段階あり、凄まじく強い能力や、能力自体がチートだろ、みたいなやつの階級はジーニス。何か特定の分野、 例えば戦闘や回復などにずばぬけて長けた能力を持っているやつの階級はスペシフィック。残りの全ての能力いわばものを浮かせるだけだとか、水を操るだけだとかいった能力を持った奴はヴェイグ。と、このように人々は分類され、これら階級によって人生が決まる。ジーニスの奴らはエリート人生確定だし、スペシフィックの奴らもある程度いい人生を歩めるだろう。ヴェイグの奴等の中には落ちこぼれもいるらしいが、ほとんどのヴェイグはふつうの人生を歩める。でも言い換えればどう足掻いたって生後二ヶ月で己の人生が決まるのだ。どう考えたって狂ってるだろう。でも私の人生はきっともっと狂ってる。なぜなら、私、アリヤ・ロートンが生後二ヶ月の時に与えられた

能力は、、、「人間(ヒューマン)」、、だった、、からだ。能力「人間」ってなんだよ。何ができんだよ。無能力じゃねーか。頭おかしいだろ。でも、これだけじゃない。こんな無能力と言える能力を与えといて、神様が私に与えた階級はジーニスだった。意味がわからない。神様、酒でも飲んでたんだろうか。それとも、失恋でもしたか。私の階級はどう考えたってヴェイグの中の落ちこぼれだろう。

問題はこれだけではない。ジーニス階級の奴らはみんな同じ高校に入らなければいけない。これは決まり。法律みたいなものだ。そんなことしたら高校に人があふれるって?大丈夫なんだこれが。ジーニスは元々人口の1割未満。その中で高校生だけとなるともっと数が減る。現に1学年のクラスは3クラス。1クラス三十人だ。な?狂ってるだろう?

 

第一章

ここはジーニス階級だけが通うことを許されたフィリウスデイ学園。今日はその入学式。その学園の門の前に来て私ことアリヤは泣くのを堪えていた。


いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、行きたくない、行きたくない!どうして自ら地獄にいかないといけないの!この門をくぐれば惨めな高校生活の幕開けだ、、、いやだ!絶対能力をバカにされる!いっそ殺してぇぇぇ!

そんなことを考えながら門のまえでかれこれ30分以上立ち止まっていると、

「そこ!なにをしてる!通行の邪魔だ!」

と、怒鳴られた。驚いて顔を上げるとそこには目を疑うほど綺麗な顔をした青年がいた。綺麗な薄緑色の瞳に、白い肌、高い鼻に高身長、怒鳴っているというのに心地の良い綺麗な声。こんなの女子は目があっただけで失神するだろうし、男子は性癖が歪むな。でも私は大丈夫だ。幼少期の頃からこの能力と階級のおかげで性格はひん曲がってる。かっこいい!すてき!なんていう女子らしい感想は1ミクロもなく、うらやましい、、さぞいい暮らしをしてきたのだろう、、その見ためなら能力も階級も関係ないんだろう、、と思った。我ながらこんなイケメンを前にしてクソみたいな感想だ。こんクソみたいな感想しか出てこないやつの最初の発言はこうだ、

「あんた誰?」

周りの人たちが響めき始めた。そりゃ、そうだ。こんなイケメンを「あんた」呼び&タメ口なんだから。

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