僕の探偵

天ヶ瀬羽季

第0話 僕

 あの人は僕に言う。

「君の名前は"リゲル"

 ー君は・・・     ー」


 僕は嫌われ者だった。

 母からは暴力が日常茶飯事。

 父は僕の生まれた日飛行機の墜落事故で死んだ。

 母は僕が生まれてこなければよかった。

 そう僕に毎日毎日呪いのように言う。


 正直、僕も何で生きているのか分からなかった。

 生きたくないとかではなくて、死にたいわけでもない。

 ご飯が出てくるから食べて、学校に行かなくちゃいけないから行く。

 ただそれだけ。


 ある日家に知らない人達がゾロゾロとうちに来た。

 その人達は僕に優しく話す。


 「大丈夫?これからは大丈夫だからね。」


 何が大丈夫なのかも分からない。

 たくさんの大人が、僕のことを話していた。

 ほっといてほしい。

 いらないなんて言うなら、生まれてこなければいいなんて言うなら…


 母は虐待で捕まって、僕は施設に入った。

 施設内では"いじめ"がある。

 年齢関係なく入ってきた順で、いじめられるシステム。

 僕も例外なくいじめられた。

 でも何も思わない。悲しいとか辛いとか何一つ。

 自分で自分の異常に気づくほど、辛いことはないという。

 だから、僕はいつ死んでもいいと思っていた。

 

 

 そして出会った、"あの人"に。

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