魔女の祝福

@chanoko

カウンセリング役の日記

 七月二十八日 火

 葡萄が落ちた。

 一度目は、なにも思わなかった。

 二度目は、少し落胆した。

 三度目は、まだチャンスがあったはずだった。

 四度目は、絶望のあまり動けなくなった。

 五度目は、またかと思った。

 六度目は、期待はずれに歯をくいしばった。

 七度目は、さすがに怒りを覚えた。

 八度目は、自分の観察眼のなさに呆れた。

 九度目が、今回。たった今終わった。

 十度目は、あと少ししたら始まる。

 十度目にもなると、なにか変化を見たくなった。こんな地獄とはもうおさらば。

 さあ、はじめよう。ささやかな反抗を。

 

 そう、すべての──魔女の祝福に。

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