死にたい僕と笑う神様
三冠食酢
第1話 神様ロンリネス
たまに思う 存在証明の意味を。
友人もいる。家族もいる。別に僕の中では幸せな時間がある。でも、僕以外の他人にとっての頭の中に僕は存在証明出来ているのかと。
たまに思う 生きる意味を。
食べる事が好きだ。運動も好きだ。
ただ、愚鈍のように人生を謳歌する理由が僕にとって意味があるのかと。
別に人並み以下の不幸せじゃない、むしろ幸せだ。でも、
たまに思う 死にたいと願う事を────────
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
目の前にいる神様〜。
今からちょっとだけいいか?不幸話とも言えないがそんなもんだ。
他人の不幸話なんて聞きたくないと思うが、ちょっとくらいは聞いてくれ。後から話面白くなると思うし、後で飴ちゃんあげるから。
─────────中学三年の時だった、周りと違うと気づいたのは。いや、遅れていると言った方がいいのかもしれない。
別に僕は出来ない人間ではない。他人から見ても、自分から見ても大体の事は他人より出来ると思っている。勉強も、運動も他の人が凄いと言う程には出来た。
何も出来ない奴とは違ったんだ。
でも、゛出来る゛だけだった。それ以上になる事は決してないし超えることもない。
口々に人々が、才能と言う。努力より才能がものを言うこの世界。これは間違っていないと思う。
そんな事はないと言う人もいるが、それは観客席で応援してる非正規参加者のプレイヤーだ。
才能の無いやつは努力して初めて才能のあるやつのスタートラインに経つことが出来る。でも、それは才能のある人間にとって、そのスタートラインはただの踏み台でしかない。
決して、気づく事の無い約束された一歩目。
こんなに熱く語る僕だが、僕にも才能はあった。中途半端という自己完結の才能が。
バスケも、空手も、ギターも、出来た。人並み以上に出来た。でも完璧にはならなかった。努力はした。思考もした。無意味だった。ただそれだけだ
僕は何故自分自身に、こんなに完璧にこだわるのか。それは自分でも分からない。
見栄なのか、はたまた自己満足か。考えればその時いくらでも出そうだが、中学生の頭というのはそこまで褒められた程に出来ていない。
ただ、分からない日々が続く。
そんな毎日に足取りが重かった。それから人を見るのが苦痛になった。自分が嫌になった。
その時からだ、生きる意味について考えじめたのは。
何故か、理由もないのに心のどこからか完璧を求める自分と、歪に曲がった不可能な可能性の現実。人と比べて満足する自分と、変え難い才能の差。
一度部活で言われた事がある。お前は何が出来るんだと。
そいつはよく出来たヤツだった。
そいつは別に中途半端に出来る僕は要らなくて、完璧な奴が欲しいらしい。まぁ、当たり前と言えば当たり前だ。そっちの方が勝てるから。実に合理的で完璧な考えだ。異を唱える方がおかしいまである。
その時からだ──────────
僕は何かをやめた。あの時の事を昔から、今でも何をやめたのか自分でも分からない。
考える事なのか、努力なのか、それ以外のものか。
はたまた、ただ逃げただけかもしれない。
多分、昔の感情は心の奥底にはまだ眠っているかもしれない。
だが、それで良かったのかもしれない。お陰で、今は随分と体が軽い。
こうして屋上で、空を見ながら一人寝転び神かも分からない人に語りかけてるぐらいには軽い。
高校二年生 夏──────
僕─佐藤 純一はもう何もやっていない。普通に学校を過ごし、普通に生活をする。
そこにはもう昔のようなものは残っていない。
だがそれでいい。
今はただ楽しい。それだけだ。
「・・・・・・そろそろ教室帰るか」
スマホを見てみると後数分でチャイムが鳴る。流石に屋上にいすぎた。
やることも無いし帰るか・・・
「君の話面白いね」
重い腰を上げようとした時、ふと少女の声が耳に入る。
この屋上には誰もいなかったはずだ。屋上に上がってきた音もしなかった。
振り返ると、ただ一人そこにいた。
「・・・・・・なんですか?」
「君が話を聞いてくれって言うから聞いていたのに」
そうやって彼女は笑顔で言う。
「・・・・・・ホントに誰なんですか?」
僕は聞く。そう聞くとただ彼女は
「神様!」
青空のような笑顔でそう言った
その一言からだ。僕の人生がまた動き出したのは
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