第2話 落ち武者の地縛霊
志半ばで死んだ夏吉。死後、彼は、日本アルプスの地縛霊となった。
しかし、特に悪さをすることもなかった。
ただ、江戸時代の1750年、江戸から、ずる賢い豪商が飛騨にやってきた。
この豪商は、困窮していた農民がいたにもかかわらず、彼らの住居のそばで、連日連夜、別荘で遊興をおこなっていた。
そして、挙句の果てには、古来から、その地で信仰されていた神社に放火したなどという噂も立った。
火のない所に煙は立たない。
これに見かねた夏吉は、ある夜、豪商の別荘に入り込むことにした。
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