第17話 栗橋邸事件

 夜の闇に包まれた栗橋邸で、金の鍵が失われた。深海探検家の横溝彬光よこみぞあきみつ、烏賊の研究者、天城哲也あまぎてつや、そして人参畑の持ち主である鍵谷英夫かぎたにひでおも集まり、事件は始まった。突如現れた桂谷英子、一流の探偵で、彼女の微笑みは謎めいていた。


 しかし、栗橋道夫くりはしみちおが死体として発見されると、事件は復讐の色彩を帯びてきた。

 犯行現場は道夫の部屋(寝室)。隣の居間とのドアは施錠されていない。隣人が横溝だったので彼は英子に疑われた。

 英子たちは一階の大広間に集まっていた。

 4人はソファに腰掛けていた。

「横溝さんに気づかれずに誰も侵入出来ない」

「俺を疑っているのか!?」

 3つの窓は全て15センチ間隔で鉄棒がはまってる。屋根裏部屋に上る階段があるが、ドアは寝室側から施錠がしてあった。

「屋根裏から侵入は出来なかったようね」

 栗橋は喉を鋭利な刃物で切られて殺されていた。現場の書斎には激しい格闘の跡があった。

「そう怒らないでよ」

「肉薄にも動機はあるんだからな!?」

 横溝が立ち上がって怒鳴った。

 

 肉薄潔にくはくきよし、栗橋のかつてのビジネスパートナーだが裏切られた過去を持ち、彼の陰謀が浮かび上がってくる。


 鍵谷の人参畑には秘密が隠されており、深海で発見された謎の生物と烏賊の研究が絡み合い、事件はますます複雑になっていく。桂谷英子の洞察力を頼りに、彼らは復讐の真相に迫っていくが、次第に彼女ら自身の過去も明らかになり…。


「へぇ~、人殺しはよくないな~」と、鍵谷。

 なんと、天城の正体は武田だったのだ。武田は変装の達人だった。標的に触れるだけで変装が出来る。

 もしかしたら、栗橋は武田に殺されたのか?と、英子は思った。

 真の犯人は鍵谷だった。医療の知識が豊富である鍵谷は栗橋に末期癌だと思い込ませて自殺に追い込む。

「コイツを手に入れる為にやったことさ……」

 鍵谷はトレンチコートのサイドポケットから金の鍵を出した。

「おまえがやったのか? 俺はてっきり英子がやったのだと……」と、横溝。

「畑のちょっと奥には洞窟があって、そこに金庫があったわね」と、英子。

「この鍵はもともとは俺のものだった。卯吉に復讐するために買った銃を隠していた。だが、栗橋に脅された」



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桂谷家の事件簿  鷹山トシキ @1982

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