この世界のバランスを保つのは難しい!
虎革龍之介
第1話 始まりと出会い
「この子だけは、この子だk!」
卵を高いところから落としたような、気持ち悪い音が里中に鳴り響く。
南国なのに、熱い、怖い、視界いっぱいに広がった紅色、里に鳴り響く汚い音と断末魔、鉄臭い匂いが充満している、野外なのに。
僕たちが何をした?人間に何をした?
目の前に、現れる180cmくらいの男性。
何故だろう。俺は、この先も希望に満ち溢れた生活も送れるのだと微塵も疑っていなかった。それだというのに、気づけば死を覚悟してしまっていた。
いや、その幼さでもわかるほど残酷なものだった。
「ソード、お前だけは生きなさい。我々ザングス族全員の、死を無駄にすることだけは絶対に許さん!」
父さんが、男から杖の様なもので守ってくれる。何故だ、僕は死を覚悟したというのに、父に助けてもらったのが嬉しかった。
「っ!!」
「お前なら、このねじ曲がった世界を正せる!!」
「でも、父s!」
「いいから行け!」
「...。」
その時、俺は無言で駆け抜けた。
「あっちに、誰か走っていったぞ!」
「すぐに追いかけろ!いいか、一匹でも取り逃すな!」
「うるせぇ!わかってラァ!ほら行くぞ!」
「おぉぉぉ!」
意味も、分からずただただ走り続けた。
〜数年〜
「助けてっ。」
ダメだ死ぬ....。
「安心しなさい、少年。お前は死なない。」
僕の前に一瞬で広がる冷たい透明な物体は恐らく、氷だろう。そしてその先にいるのは、僕を襲ってきた化け物だった。そして前になびく茶色のマント。
「お兄ちゃん、一体誰?」
「駆け出しのヒーローってとこかな。」
ニヤッと笑うその人。そしてやっと駆けつけてくる警察。
「なんだあラァ?」
「あー、こないだヒーローの資格取ったやつじゃね?」
「ゲッ、ヒーロー資格ってマジかよ、相当頭良くて才能のある奴じゃねぇとなれねぇやつだよな...。」
「あぁ、そうだよ。ていうか、お前警視長の話聞いてなかったのか?」
「あー、やっときた。遅かったなぁ。」
「おつかれさまです。えーとお名前は?」
「ソードです。」
「ソードさんお疲れ様でした。こちらが報酬でございます。」
「うーん、いいや。俺報酬のために働いてるわけじゃないので。」
「受け取って頂かないと困ります。」
そういうと、警官はこそっと言った。
「貰って頂かないと私が上司に叱られるので。」
「そうですか。では、遠慮なく。」
微笑みながらそういうと、ソードという男は茶封筒を持って消えた?のだった。
・
「なんか最近奴らからの攻撃が多いんだよなぁ。」
チャリンと鳴る首飾り、見た目は氷のように透明で中心にはザングスの牙。
これは俺が五歳の頃父さんから受け継いだものだ。なんでも、ザングスの里の主獣になったら必ず継承され息子ができたらまた自分が継承しなければならない。もらったときはもちろん嬉しかったさ。何ヶ月経っても嬉しさが絶えなかったのを俺はよく覚えている。それなのにあのクソみたいな一日のせいで俺の人生は一変してしまった。
あの日から、ザングス族は俺一人だけ。
「はぁ。」
狭い小屋に響くため息。これからどうしようか。事務所でも構えてみるか?
「こんな状況じゃ無理だな」
苦笑いをする。また旅にでも出てみるかなぁ。まぁ、それもありだな。
「あっ!いいこと思いついた!助手を雇おうか。」
ただ、今助手のを雇えるほどの金もない。
「時間は、かかるが俺の寿命ならまぁいいだろう。」
あと、30年もあるので問題はないだろう。今から俺が向かう場所は、勘づく人はわかるであろう。そう、孤児院だ。
ていうか、俺子供育てたことないんなどよなぁ。
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