第四十三話 大切な一葉

夜、自室のベッドで僕は全裸のサチを左腕に抱きながらボヤっと天井を眺めていた


サチは左手を僕の胸に添えて静かな寝息を立てている

そんなサチを見るとこころが満たされていることを感じる


僕のこころを救ってくれた大切なひと

愛してる

心の底から愛おしい

サチ・・・


素肌と素肌で触れ合うことがこんなにも心を満たしてくれる

こんなにも大切な存在が身体の一部のように密接なこころのつながりに昇華する


この言い知れない充足感

幸福感・・・

ここまでこころが満たされることがある事を

僕は初めて体感的に知った


ほんとうに愛おしい

僕の愛したひと

僕の大切なひと

サチ・・・


そんなサチの寝顔を見つめながら、右手で手探りで枕元灯のスタンドのスイッチを入れる


三段階で明るさの変化する電球色の灯火を一番暗めで点灯する


室内がほんのり照らされサチの寝顔がよく見える


「奇麗だ・・・」

そんな独り言をついつぶやいてしまう・・・


すると、見る見るうちにサチの顔が真っ赤になる


「サチ?起きてる?」

サチの真っ赤な顔の中の目が薄く開かれ


「もうっ!そんなことボソッと言ったりなんかしたら・・・!!」

「周平はずるい!!」


短く『べっ』って感じにかわいく舌を出すサチ


「かわいい・・・」


「もう~~~~~!」


そんなサチの顔に右手を添えてこっちを向かせると優しくキスをする

触れ合う唇と唇


軽く触れ合った後、ゆっくりと離れると、サチの方から追いすがるようにもう一度唇を重ねてくる


今度はもっと長く強く・・・


名残惜しそうに唇が離れるとすぐにサチの目線がベッド脇の時計を捉えた

「もうあと一時間もないね・・・」


僕はそのサチの言葉が両親の帰宅時間のことを言っていると気づく


突然、サチは起き上がるとベッドわきの床に落ちてるスマホを拾う


起き上がる前と同じ位置に寝転ぶと、僕の胸に頭を預けながらカメラを起動し、インカメラに切り替え突然撮影した

パシャリ・・・


「えっ?」


「記念だよ!」

「二人がほんとに結ばれた日記念!!」


そう言ってウキウキしながら撮影画像を見せてくれる


「いやいや・・・サチの胸まで写ってるけどいいの?」


「いいのいいの、そうでなくとも絶対にほかの人に見せれる写真じゃあないし」

「二人だけの記念なんだから・・・」


そこで不安になったのかサチは上目遣いで

「ダメ?」


いやあ、そうされてダメと答えられる強さ、僕にはありません

「サチがいいならいいよ」


「やった~!」

「周平!大事にするね」


そうして僕たちはまたお互いの体温を素肌越しに感じあう

お互いの心臓の鼓動も素肌越しに伝わる


心地いい『トクン・・トクン・・』という鼓動

すごく安心するリズム


もっとこうして居たいという欲求が沸き上がる


でも、すぐに

「周平の体温も鼓動も、もっと感じて居たいけどもう起きなきゃね・・・」


「そうだね・・・」

「あっ・・・サチ?」


「なに?」


「その・・・痛かったりしない?大丈夫?」


「えっ・・・?」

「ああ・・・そういうことか・・・」

「周平優しいね」

「大丈夫・・・ちょっと違和感があるぐらいで・・・」

「痛い感じは最初の一瞬だけで後は・・・」

「だから大丈夫だよ?」

「全部周平が優しかったから」


サチはそう言って僕に飛び切りの笑顔を向けてくれた


それから一緒にベッドの上に起き上がると

お互いにベッドの周辺に散らばった下着や衣類を拾い集めて

身に着けていく


改めて見るサチの下着姿

黒いレースの素肌が透けて見える扇情的なもの


はっきり言ってエロい

それに気づいたサチが


「じっと見すぎ!」

「でも、今後はこんな感じのばっか見せたげるから期待しててね!」

「だから今日はもう我慢して?」


僕は

「はい」

としか言えなかった


「何ならさっきの画像周平にも送るよ?」

「っていうか、問答無用で送りつけるし・・・」


ニカッっと笑いながらサチが言った


ほんとにかわいいしかない

「かわいいかよ」


それを聞いたサチは真っ赤になりながらビッグパーカーまで着用し終わる

正直、これも相当刺激が強い


「下、服着てないように見えてめちゃくちゃエロいなぁ」


「そうでしょそうでしょ?」

「興奮する?ねぇ興奮するの?」

「下衣失踪コーデって言うんだよ?」


そう言うとサチは自室に戻ろうとして・・・振り返り


「そういえば・・・ご飯食べてないね?」

「どうしようか・・・周平?」


両親の帰宅時間まであと15分程度


「急いで食パンかじってコーヒーで流し込もうか?」


「じゃあ私はすぐにコ-ヒー用意する」


「僕は食パン二枚用意する」


「マグカップだけ洗わないといけないか・・・」

そして二人で急いで準備して食べて片付けたら自室に下がった









私は自室に戻ると先ほど撮影した画像を確認する


驚いた表情の周平がかわいい


そして私は・・・

胸の先端がばっちり写っちゃってる


まあ、文字通り誰にも見せられない写真


でも、二人の大切な想い出


周平にLimeで画像を転送すると


私はどうしても紙媒体でもこの画像が欲しくなってオンラインの画像印刷サービスに画像を送って予約番号を受け取った


フォトスタンドにセットして本棚に隠せば、スマホを起動しなくとも周平の驚いた顔と私の幸せそうな顔がいつでも楽しめるなぁ


私はそうウキウキ考えるのだった


そうだ、私の幸せそうな顔・・・

そう・・・

本当に満たされた想い


周平との素肌と素肌のふれあい

ものすごく心が満たされた


本当に『幸せ』っていう感覚が具体的に感じられた

あの、心も身体も満たして突き抜けていく感覚


抱き合いながら感じる充足感

見つめあいながらも痺れていく脳が捉える周平の満たされた表情


耳元で囁かれる周平の『愛してる』

脳が・・・心が・・・蕩けていく


そうして私の身体も・・・心も・・・

幸せに染まって

満たされて


そして何度も幸せの絶頂感を感じて

周平と一緒に満たされた


愛してる・・・周平

私の大切なヒーロー

愛おしいひと


私のこころも身体もすべてを愛で満たしてくれる

そんな大切なひと


愛してる


そんな周平とこころも身体もつながれた

愛で満たされた

愛で満たした


そんな感覚を写した一枚・・・いや一葉の写真

大切な想い出の一葉


~~~~~~~~~

次回は「永久就職への進路」です

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