第8話



 『黒の一帯』というのは、世界各地に蔓延している謎の“霧(ミスト)”のことで、人の目には通常見えない。


 世界はこの霧に少しずつ覆われ始めていて、今では、世界中に存在する土地の面積のうち、約20%がこの影響下にあるとされている。


 黒の一帯は人々の心を蝕み、海を徐々に干上がらせ、土を腐らせる。


 植生に覆われた土地が不毛地になっていく砂漠化現象は、少なからずこの霧の蔓延が諸因子だとする研究成果も、近年発表されていた。


 いわば、星の「病気」だ。


 少しずつ増殖していく悪性の腫瘍。


 放っておくと、いずれ世界は終末への道を辿ってしまう。


 WCNAは、それらの進行を食い止めるために設立された機関であると言ってもいい。


 黒い瘴気を発生させている“原因”、——「星喰い」と呼ばれる寄星獣を撲滅すること。


 そのことを、念頭に置き。



 『星喰い』と言うのは、肥沃した星に寄生し、その生命力を“捕食“する存在。


 私もまだよくわかってないが、ソイツはどうやら星の「核」の部分に寄生し、今もなお侵食を続けているらしい。


 何より信じられないのは、これから1000年後の未来には、世界は終末期を迎えるらしいんだ。


 それは世界の「確定事項」らしくて、このままだと、人類は滅びてしまうらしい。


 そんなおとぎ話みたいなことがある訳ないと最初は思ったけど、見ちゃったんだ。


 WCNAのある場所。


 豊かな海と空に覆われた時空要塞都市、メトロポリスの中心街を。



 “そこ”は、すべての並行世界を1つの回線で繋ぐ「場所」だった。


 1000年後の未来の人が、“人類最後の砦”としてブラックボックス化した宇宙、——WCNA。


 すでに星に寄生している「星喰い」を倒すため、彼らは黒の一帯を浄化するための計画を練るようになった。


 その計画の一つが、「対魔物3課」と呼ばれる前線作戦部隊の結成だ。


 星喰い、——通称『キューブ』の侵食によって汚染された大地は、生物にとって害をもたらす瘴気を出す。


 これが黒い瘴気と呼ばれる「霧」の正体で、この霧を浴びた生物の“一部”は、異形の怪物と化すことがある。


 ドラゴ・ニュートと呼ばれる、バケモノに。


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