第169話 侵入者
夕食は従兄と一緒だったが思いのほか和やかに進み、無事に終わった。
その後は就寝準備をして寝室に入り就寝した。
レオンの母達から、夫婦の部屋に移るならそちらを整えるのは私がするようにと話があった。
レオンは仕事で遅く戻ることもあるし、女性は出産や育児があるために寝室を別に持つ方向で考えている。お義母様たちからは、別に私室を持ってもいいとは言われているが、私用の料理場には休憩室もあるので、一人になりたい時はそちらを使える。特に自分用の部屋を別に準備することは考えていない。
レオンが今使っている部屋はそのまま置いておくので、夫婦の部屋は私の趣味で整えて構わないと言われている。ある程度決まったら、不備がないかなどは確認してくれることになっているが、これはお義母様たちからの宿題でもある。
私は自分の部屋を準備したことがない。あるもの、準備されたものを使うのが当たり前で、必要ならばこっそりと買い足す。
だが、将来公爵夫人になるならば、嫁いでくる者や、客人に対して失礼のないようにやり方を知っていないとならないのだそうだ。
婚約者としてきた私の部屋は、基本的にはレオンの意向で整えられていたそうだが、お義母様達の気遣いもあったそうだ。そもそも、男爵家の娘で、度重なる婚約破棄歴のある私をあんないい部屋で受け入れてくれたことが異例で、感謝しかない。
近い将来、レオンと同じベッドで眠って、隣に誰かいる状態で目が覚めるのかと思うと、なんとも妙な感じがした。
そんなことを考えていたからだろうか、隣に温かみを感じる。
「……ん?」
「あ、おはようお嬢さ、ん。ごぼぼ」
目を覚ますと、見知らぬ顔があって反射的に魔法を使って飛び起きた。
「誰か!」
声を上げるとすぐに侍従が飛び込んでくる。
「どうされました、リラ様!」
寝ずの番があるとは聞いていた。本当に眠らずに待機していたのかとも思ったが、外が白みだしていた。
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