応援コメント

第40話  探さないで」への応援コメント

  • 画像の通りに再現したミニチュアが写真と同じかというのは、メタバース内での造形とも共通するとても面白い問題。
    ルネサンス以降の西洋アートはフォトリアリズムが人気で、その後写真が発明されてからは、主観的な絵(印象派)が流行するが、早く描けるので安く売れる/買えるという面もあった。より精密な絵画(写真を下絵にした場合すらある)の人気は今でも高い。

    人間は、絵画の訓練をよほど積んだ人を除けば、目で見たものを単純化して記憶する。だから主観的に描いた絵に比べ、観察しながら描いた絵はディーテールがより深く、題材によっては圧倒的な迫力となる場合がある。グレートバリアリーフに潜った時に見たその圧倒的なディーテールはメタバース内で再現する気を失わせるほど。

    2Dの写真に比べ、3Dのミニチュア/3Dオブジェクトは3Dゆえに視点の動きにつれて新しい刺激をもたらす。一方、写真が変化するものの瞬間を切り撮れる点が大きな利点になる場合もある。人間の表情の微妙な変化なんかもそう。

    もうひとつ、「写真を再現する」といってもそこにクリエータの主観や好みが入るし、なんやかやいっても単純化/手抜きもある。ただし観る人も記憶の中の単純化されたものと見比べるので、そんな手抜きでも人を感動させられる。

    面白いことに、3D-CADデータを出力して生成した3Dオブジェクト、あるいは3Dスキャナやフォトグラメトリで生成した3Dオブジェクトはよりフォトリアリスティックなはずなのに、たいてい味気ない。

    作者からの返信

    西村屋さん、丁寧なコメントをありがとうございます!
    たった一場面から、こんなに深くご考察していただけるとは、思ってもみませんでした。

    仰る通り、最近は絵画でも造形でも、よりリアルに再現されているものが注目されていますが、超絶技巧は最初見たときは「すごい!」と驚いても、何度も見たいと思うほどの感動はないなと感じています。
    これから先は、超絶技巧はAIが人間を抜いてしまうでしょうし。

    だからこそ、人の心に訴えかける個性が大事になっていくんだろう、と思います。
    ピカソが苦労してキュビズムを生み出したように、クリエーターは「普通にすごい」を乗り越えていかなくてはならないんだろうな、と。

    この作品はミニチュアという小さな世界ですが、そんな葛藤も描きたいと思っております。