かえりみち

乃木圧力

第1話

浅間山 登ってみたいな 浅間山


「できてしまった、何が?傑作が!」

「……なにが?」

「俳句だよ、俳句」

「七五調で言葉を並べただけだろ、俳句だって言うなら季語は?」

「浅間山に登ってみたくなる季節は、人それぞれじゃない?」

「季語は人それぞれ?そんな新ルールあんのかよ」

「夏のほうが登りやすそうだけど、今目の前の雪で白くなった浅間山を見て、山頂の景色を見てみたくなったから、強いて言うなら冬だね」

「山頂の景色に思いを馳せるくだりを句に盛り込めよ」

「細かいことはいいんだよ!説明し過ぎるとつまんなくなるでしょ?余白があると解釈したまえ」

「松島や ああ松島や 松島やみたいなもんか」

「おっ?良い句だね、私のと並ぶくらい良い出来だよ」

「芭蕉に謝れ!」

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