全員バ美肉おじさんだと思っていたからフランクに会話していたのに…俺以外は全員女性ってマジ?
ALC
第1話バ美肉おじさん…じゃない…だと…!!!
「やめろぉぉぉ!腰をカクカク動かすなぁぁぁ!」
もちろんこれはゲーム内の出来事である。
僕は
「甘ちゃんもやってみなよ。気持ちいいよ!」
同じくバーチャル配信者であるスギザキは声を加工してバーチャルの世界で美少女の姿を借りているおじさんだ。
所謂バ美肉おじさんだった。
「スギさん。やめてくださいよ。同性同士でもセクハラは適用されますよ?」
「配信中っていうのを盾に怖い脅しするね。酷い!」
「甘ちゃん。こういう時はケツに銃口を突きつけるんだよ!おら!もっと激しく動け!」
同じくバ美肉おじさんの
「ほら!前からもだ!もっと動け!お前の仕事は激しく腰を動かすことだけだぁ〜!」
もう一人のバ美肉おじさんであるライ麦一番は同じ様に悪ノリに乗っかっていた。
「ちょっと!他の配信者さんも居るんですよ!近くに来られたら声も拾われてしまうんですから!そろそろやめましょうよ!美少女の見た目が台無しになりますよ」
慌てるように彼らを制すると話を分かってくれたようで仕方なく悪ノリを終了させた。
「配信者女子会の最後の方はこんなノリだよね?」
スギザキが苦笑しつつ他の二人に声を掛けていた。
「そうそう。酔も回りきって。もうわけがわからなくなるからね」
世界宇宙も同意するようにその様な発言をする。
「皆本当は下ネタ好きだもんねぇ〜」
ライ麦一番も開き直るようにその様な言葉を口にする。
「何知ったようなこと言っているんですか?皆さんおじさんなんですから…女子会の様子なんて知らないでしょ?」
「………」
「………」
「………」
そこで何故か彼らは無言になり僕はいつものノリだと思って適当にあしらった。
「自分のことアバターのようなお姉さんだって思うのは自由ですけど。そうしたらもう少しお姉さん然としていてくださいよ」
僕の言葉を耳にしても彼らは返事をしない。
いつものノリではなく何処か様子がおかしいように思えた。
「甘ちゃんさぁ。オフ会する?」
「オフ会開催したら…来てくれる?」
「おじさんだらけの輪にリアルで入るのは嫌?甘ちゃんは二十二歳だもんね」
「いや。別に僕は構いませんよ。おじさんと仲良くなるの得意というか。年上の人って接しやすいので」
「じゃあ決定。日程は後でチャットするね。とりあえず私達はここで落ちるわ。またね」
そうして彼らは不機嫌になったのかサーバーからいなくなってしまうのであった。
そして後日。
本当にオフ会は開催されることになる。
会場であるおしゃれなカフェに向かうと既に彼らは到着しているようだった。
辺りを見渡しても男性グループは何処にも見当たらない。
チャットで到着した事を報告すると奥の席から女性が三人歩いてくる。
「甘ちゃん?」
「はい…そちらは…?」
黒髪長髪長身で何処とは言わないがとんでもない破壊力のある身体をしている女性が声を掛けてくる。
「スギザキだよ。本当に女性だったんだけど…いつからバ美肉だって思ってたの?」
「申し訳ないですけど…初めからです…ごめんなさい」
しどろもどろしながら目の前の圧倒的女性力の高い人物に怯んでいた。
「甘ちゃんは可愛い系の男性だ」
小柄な体型でボブカットだがトリッキーな髪色をしている女性は僕と対面した。
「そちらは…?」
「世界宇宙だよ。声が特徴的だからボイスチェンジャーって勘違いした?」
「はい。不自然なほど…可愛らしい声だったと言いますか…すみません」
こちらもスギザキとは違った方向に女性力の高い人物だった。
オシャレ方面に全振りしているような高度な格好をしていた。
「本当に女子会の最後はあんな感じなんだよ?理解できた?」
ハーフかクォーターの様な見た目をしているナチュラルブロンドの髪におしゃれな眼鏡を掛けた女性は僕の近くに寄ってくる。
「えっと…ライ麦一番さんですか?」
「そうだよ。意外だった?」
「と言うよりも…僕以外全員女性なんですね…」
声量が明らかに小さくなっている気がする。
眼の前の圧倒的女性力の高い三人を前にして僕は困り果てていた。
おじさんだと思っていたからフランクに接することが出来たのに…。
こんなに美人や可愛い人達に囲まれたら…。
僕はどうするべきなのか…。
この後の行動の仕方がわからない。
「とりあえず席つこうよ」
彼女らに連れられて僕は最後尾を歩いていく。
席に腰掛けると彼女らは僕に問いかける。
「これからも普通に仲良くしてくれるよね?」
「おじさんじゃないけど…良いよね?」
「もう関係はこれで終わりとか言わないでよ?」
三者三様の言葉を耳にして僕は顔面を真っ赤にさせてどうしようもなく頷くのであった。
バ美肉おじさんだと思っていた仲間が実は全員女性だった。
お姉さん方との不思議な出会い方によって…。
ここから僕のドギマギする恋愛物語は始まろうとしていた。
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