第30話 衝撃の光景
子供たちを地面から特殊な金属の魔法で覆って守った。装束を纏った長身のリカルドの魔力と怒りはかなり増している。
「その金属の檻、中々センスあるじゃねぇかww 空気まで密閉してるからそのまま閉じ込めれば悲鳴も聞こえずに窒息死だぞ?ww」
「そうなる前にあんたを倒すから安心して。」
「お前なんかに何ができるww どこの差し金か知らんが、所詮は雑魚だ!」
「それはどうかしら?これでも私、結構強いのよ!」
「お前、もしかして|聖人(ホーリーセイント)か?だが運が悪かったなw ここは俺の世界だ!」
「この空間は俺の結界の中だ!俺は王国で一二を争う|結界師(バリアマスター)だ!ここじゃどんなやつでも無力だ!!」
彼の作った結界はかなり精巧に作られている。外からの強度と他の場所に結界を作れない代わりに、内からの強度と支配力を与えられている。外から入る分には扉から簡単に入れるが一度入ったらリカルドの許可無しには出られない。中のもの全てを分子レベルで認識し操れる。
そして中にいる者は魔力を吸い取ることも可能。それを常に子供たちにかけて魔力を常時吸収している。
ネネも魔力を吸い取られていることにすぐに気づいた。
「この結果内では圧倒的に不利…」
「その通りだ!侵入者は誰だとしても殺すのが俺の任務でもあるんでなぁ!」
周囲に生えている木々を操ってネネに攻撃をした。
すぐに避けようとしたが地面の土が膝から下を固めて身動きが取れない。
「|風天突破(ウィンドストライク)!」
迫りくる太い木の幹を風魔法で粉々にした。明らかに魔法の威力が結界の効果で落ちている。
風魔法で足の拘束を解き、空中浮遊して拘束されないようにした。
「燃やさなかったのを後悔しな!!」
粉々にした木の破片を一つ一つ操作しての方にネネに迫る。空中浮遊で飛んで避けたがどこまでも追いかけてくる。
「ここだ!!」
迫りくる木の破片を避けるのに夢中になっていたネネの前に大きな岩がぶつかってきた。
「きゃああ!!」
防御が間に合わなかった。ネネは破片を背中に全て当たってかなり遠くに飛ばされた。
「|絶無姿消(ノンエグジスト)」
ネネは魔力を放つのを完全に絶ち、気配を消した。
回復魔法は当然使えない。背中の破片はかなり深く刺さっている。出血もひどく、岩の衝撃も大きかったため身動きが取れない。
ネネは必死に考えた。この結界は緻密に作られて、脱出は不可能。これだけ精巧に条件を組み込んでいるのなら、電波の発信はもしかしたら想定されていないかもしれない。ネネは真っ先にスマホで一か八か、小次郎に電話を掛けた。今までずっと音信不通だったが直感で繋がると思った。
「お願いお願い、出てよ出てよ?」
何度かけても出ない。諦めずにかけ続ける。
「そこにいたか侵入者ぁ!」
リカルドに見つかってしまった。
「何をしてるか知らないが、とっとと死にやがれ!!」
空気中の水分を矢のように凝縮してたくさんの水の矢を作って一気に放った。
「くっ…!」
すぐにネネは飛んで避けたり魔法で相殺した。魔力の出力も残量も限られている。
飛びながら電話をかけ続けているが、このままじゃ確実に負ける。
「あぁぁぁ!」
ネネの足に水の矢が貫いた。
「もう!出てよ!!何やってるのよ!!」
スマホから電話が繋がる音がした。
「ようやく繋がったわ…なんで出なかったのよ!」
《ヨトゥンヘイムの結界で電波が届かなかったんだ。どうしたんだ?》
「そんなことより助けて!今アレに追われてるn」
スマホが水の矢に刺さって砕けてしまった。
「だれかと通信していたのか?どういう仕組みだ!ここじゃ通信魔法は使えないはずだぞ!」
「電波も知らないなんて、哀れな原始人ね!!」
「黙れ黙れ!!死にやがれ!!!」
水の矢をさらに作って放った。
「|大炎廻焦壁(フレイムベール)!」
岩魔法は空中じゃうまく発動できないし、風魔法じゃ防御には不十分だから炎魔法で壁を作って目の前を防御した。
「分かってないようだなぁ。この結界内の全てをコントロールできるんだ。お前の周囲の空気も全て無くせる!!」
リカルドはネネの周りにある空気を無くして真空にした。一瞬で炎魔法の壁はなくなり、呼吸ができなくなった。
(息が…く、苦しい…)
ネネはしゃべろうとしたが聞こえず口パクのようになった。
「え?なんて?www お前の悲鳴が聞こえないのが残念だよw」
ネネの顔が真っ青になった。苦しい…もう持たない…。もう限界…死が目の前に見える。
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