　とうぜん、昨夜の舞踏会は大事（おおごと）になり。舞踏会の翌日には号外が発行され、カサンドラ達は街で買ってきて、宿屋の部屋で読んでいた。

　手にした号外の見出しに、アサルト皇太子殿下とシェリィの婚約披露の舞踏会は呪われていると書かれていた。それは会場へ可憐に入場したはずの、2人の体型がふくよかに変わっていたのだ。

　そんな摩訶不思議な事態を目の当たりにした、貴族達の悲鳴が上がり、大勢の令嬢達はその場で気を失った。いま披露編を行った会場は封鎖され、国の魔法省の魔法使い達がその原因を調べている。と書いてあった。

（それもそうよね。美形なアサルト皇太子殿下と、可憐なシャリィが、いきなりふくよかになったのだもの……呪われたと、言われても仕方がないかしら）

　だけどこの号外に不気味なカラスの事、カサンドラ達が舞踏会にいたとは書かれていない。まあ、カサンドラが舞踏会に居たとなれば。まず先に婚約破棄されたカサンドラが、2人を呪ったと書かれていたはず。

　まあ、2人を呪いはしませんが。

　これをみて、スカッとしたのは事実。

　なぜ、みんなが覚えていないのかと言うと、帰るとき魔女のルリアお祖母様が魔法で、皆さんの記憶を消した。そして泣き叫ぶ妹のシャリィから、魅了魔法が掛かる魔導具のブレスレットと薬を回収した。

　カサンドラ達がいる宿屋の部屋に、ルリアお祖母様が現れ号外を見て笑った。

「おやおや、みんなは面白い事が好きだね」

「ええ、私も好きですわ」

「お嬢様、私も好きです」

「とんでもない事になったな」

「私はもっと面白い話を知っているぞ」

　ルリアお祖母様は。魔導具の魅了魔法にかかっていた国王陛下、王妃などあらゆる人はシャリィに対して、風当たりが強くなったと。

　陛下と王妃が妃に望んだのは、王妃教育を完璧にこなした優秀な姉のカサンドラ。その婚約者が、いつの間にか妹のシャリィに変わり、カサンドラと婚約破棄しいたのだ。

　魔導具が外され、魅了魔法が解けた今となっては。ーーなぜ、あの時、婚約破棄を許してしまったのか。コレも呪いのせいなのではと言い出す始末。

　だが、大勢の貴族を王都に呼び、アサルトとシャリィは婚約を発表をしたようなもの。しばらくは王家の面子を保つため、婚約者を変えることはできない。　

　なにより、ふくよかになってしまったアサルト皇太子殿下はショックで、部屋に引っ込んでしまった。

「怒りに任せて、少しやり過ぎてしまったかな？」

　ルリアお祖母様は話した。あと普通の伯爵家の長子となった、魔法使いのカラスはいつの間にかいなくなっていたらしい。

「まあ、奴は魔法使いには戻れぬ。もう何もしてこないだろう」

　と言い。カサンドラ、アオ、シュシュにカラスから奪った魔力を封じ込めた、魔導具の指輪を渡した。

「アイツの魔力は嫌だろうが。アイツは人並み以上の魔力を持っていたからな、己の思い通りになると勘違いしたのだろう。カサンドラ達がその指輪をつければ、たらない魔力が補充されて自分のものとして使用できる」

　カサンドラは水と癒しの魔石をはめた指輪。

　アオは火の魔石をはめた指輪。

　シュシュは風の魔石をはめた指輪。

　カサンドラ達が貰ったのは、各々の属性に合った指輪だった。

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