久しぶりのあなたは箱の中

イタモ

第1話

私には10歳離れた姉が居た。私が中学二年の冬、彼女は急な病気で亡くなった。私が姉の死を告げられる前日の夜、母の泣き声が聞こえたのだ。悪い予感がした私だが、気の所為だと自分に言い聞かせ、眠りについたのだ。次の日姉に会いに行くと、口から泡をふき、半目の状態で眠る姉がいた。姉の旦那は横にただ座っていた。私は大人たちが本気で土下座をし、謝っている姿を生まれて初めて見た。当時の私にはあまりにも衝撃的で、顔を上げることさえできなかった。

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