その9 真犯人
38年前に一家5人が殺害され、金品を奪われて民家が放火された強盗殺人・放火事件。通称○○事件。
逮捕されたZ氏が犯人と認定され死刑判決が確定したが、冤罪の可能性が指摘され再審開始。
冤罪とみられるとされZ氏は釈放されたが、釈放されるまでに35年も時間を要したZ氏はもう高齢である。
Z氏を有罪だとする検察側と、冤罪だと主張する弁護側との闘争は未だに続いている。
が、Z氏は無罪である。そもそもZ氏は事件を起こしていない。
にもかかわらず約40年近く、一度きりの人生の時間を、罪なき罪によって台無しにされているのだ。
気の毒とかの言葉では言い表せない。
俺は新聞やテレビでこの○○事件を見聞きするだけで、身の毛がよだつ思いに晒される。
何せ、俺が真犯人なのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます