第100話 側妃視点 ムカつく聖女をアリストンに奴隷として差し出そうと思いました。
ついに100話です。間もなく完結します
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私はアレシア、元金ロス王国の王女だ。
私はキンロスの宮廷で花よ蝶よととても大切に育てられたのだ。
だから、帝国に側妃として差し出されるなんて想像だにしていなかったのだ。
我がキンロス王国が帝国に大敗して、その講和の条件として屈辱的なことに皇太子の側妃として差し出されるまでは……
そうだ。妾として帝国の皇太子に差し出されたのだ。
皇太子には既に妃がおり、私は本当に人質同然の側妃だった。
初夜だけは一緒に寝てほしいと皇太子にお願いしてメンツを保ったが、私はその時の一回で奇跡的に妊娠して第二王子を出産した。
でも、それ以降私が何度お願いしても陛下のお渡りはなかった。
私は失意のうちに生まれた皇子と寂れた離宮で過ごしていたのだ。
そんな私の境遇が急遽変わったのは、アリストンの聖女が亡くなったからだ。
具体的に言うと、その結果、急遽異世界からあらたな聖女が召喚されて、それまで帝国を継ぐと思われていた第一皇子が急にその聖女の王配に決まったのだ。
急という言い方は語弊があるが、代々、聖女の王配は周辺諸国が順繰りに第一皇子を王配として差し出していたのだ。次は帝国の番だったのだが、聖女はまだ若く、王配を出すのは次の世代かその次の世代だろうと言われていたのだ。
それが急遽王配を出すことになり、帝国の宮廷内は大荒れに荒れたが、こればかりは元々順番的に帝国なのでどうしようもなかった。
我が息子の第二皇子を出せばよいと言う話もあったが、すべての国がずっと第一皇子を王配として出ているのだ。帝国のみがわがままを言うわけにもいかなかった。
そう、その結果、我が息子が帝国を継ぐことになり、私達の居住区は本宮になって、待遇が格段に良くなったのだ。
王妃はまだ王妃だったが、いずれは私の息子のウイルフレッドが継ぎ、私が皇太后になるのだ。
その時こそ、徹底的に王妃等を虐めてやる。私は今までの恨みつらみを全て晴らしてやろうと虎視眈々と狙っていたのだ。
それがまたしても判らなくなったのが1年前だ。第一皇子の婚約者の聖女が急遽亡くなったのだ。
そんなに何回も聖女が急に亡くなることがあるのか?
不審に思った私はキンロスの父の元とアリストンに探りを入れた。
色々状況を鑑みるとやはり聖女の死に不審な点が見られ、それを父が示唆した可能性が大きくなったのだ。
何故、聖女をそのままにして、第一皇子を王配にしないのだ!
私は意味が判らなかった。
あのまま聖女の交代がなければ帝国の皇帝は父の息子が継いだのだ。帝国とキンロス2国の国父となれたのだ。父にとってこれほど都合の良いことは無いと思ったのに! 今この段階で第一皇子が戻ってくれば、第一皇子が帝国の皇帝位をついでしまうではないか。
私はそう父に文句を言わしめたのだが、父としても今回の暗殺は意に反してのことだそうで、戸惑っていたそうだ。援助は惜しまないからそちらはなんとかしろと言ってきたのだ。
なんとも自分勝手なことだ。
そんなの出来るわけはないではないか!
最初は第一皇子も婚約者が死んで意気消沈していたので、これはなんとかなるかといろいろ手を打っていた。だが、そんな時だ。第一皇子は急遽アリストンからアオイという子供を連れてきてからは急にやる気になって色々手を打って返してきたのだ。貴族たちも多くが第一皇子を支持しだしたのだ。
私が焦ってそのアオイに会いに行ってみると、なりは小さいが年はウィルフレッドと同い年だと言う。それもとても生意気なのだ。
なんと、私に対して妾と呼んでくれたのだ。
この私にキンロスの王女だった私に対して妾だ。
その一言で私は完全に切れてしまった。
すぐになんとかしてやろうと思ったのだが、第一皇子のガードが固くてなかなか接触できなくなった。
しかし、絶対にアオイには目にもの見せてやる。
私が虎視眈々と機会を狙っていた時だ。
極秘にアリストンから使者がやってきたのだ。
その使者が言うにはアリストンの聖女が我が国の聖女に会って謝りたいと言っているのだそうだ。
しかし、アリストンの聖女が素直にアオイに謝るとは思えなかった。
アリストンには甥もいる。本音を聞くとなんとひょこひょこやってきたアオイをそのまま奴隷として一生涯飼い殺す方針だと言うではないか。
「うふふふふ、奴隷としてこき使われるのね」
私に妾なんて言ってくれた天罰だ。
私は喜んでアオイをアリストンに引き渡すことにしたのだった。
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アオイの運命やいかに
本日も後2話更新予定です
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