第7話 やっと貴公子が助けに来てくれました。

ダーーーン

首輪が光って私に襲いかかった騎士たちは一瞬で弾き飛ばされていた。


部屋の中には、私を尋問していた偉そうな騎士とその横に二人の騎士がいたが、3人共弾き飛ばされたのだ。

そのうち、二人は薄い壁を突き破っていた。


何なんだろう。この首輪は?


これは奴隷の首輪のはずなのに、奴隷を守るお守り機能でもついているんだろうか?



「どうした!」

しかし、騒ぎを聞きつけて更に騎士たちが駆け込んできたのだ。


全員抜剣している。

「おのれ、本性を現したな。どこかの国のネズミめ!」

ちょっと待ってよ! 襲ってきたのは騎士たちの方じゃない! なんで私に剣を向けるのよ!


騎士たちは今にも切りかかってきそうだ。


「動くな、女。次に余計なことをすればその首刎ねるぞ」

「そ、そんな、変なことしてきたのあなた達じゃない」

私は必死に言い訳したけれど、騎士らは聞いていなかった。


「何を言う、殿下に良からぬことをしたのは貴様であろうが」

「私は何もしていないわ! 傷ついたクリフを助けただけよ」

私が反論するが、騎士たちは信じてくれなかった。


「ええい、女、その変な首輪を外せ」

「はずせるわけ無いでしょ。これを付けたクリフに言ってよ」

私が言い訳するが、


「ええい、クリフ様を呼び捨てにするとは何たることだ」

男たちは更に騒ぎ立てるんだけど。

それに反応したのか首輪は更に光を強めて光るんだけど。

騎士達は気おされている。


「女、よくもやってくれたな」

私に弾き飛ばされた騎士が起き上がって剣を構えた。


「この剣で叩き切ってやる」

騎士が構えた時だ。


「お前ら止めろ」

そこに貴族の格好をした立派な男が駆け込んできたのだ。


「しかし、お館様。この女が変な魔導具を使ってくれて」

「愚か者、その首輪は帝室の秘宝、守りの首輪だ」

お館様と呼ばれた男が叫んでいた。


えっ、この首輪って奴隷の首輪じゃなかったの?

私が思った時だ。


「アオイ、大丈夫か?」

そこに慌てた、クリフが入ってきてくれた。


「クリフ!」

私は思わずクリフに抱きついていた。


「ああん、怖かったよ。皆して、私を拷問にかけるって」

「な、何だと」

クリフの声がワンオクターブ低くなった。


「どういうことだ、辺境伯」

「も、申し訳ありません。殿下の意識が戻られないので、我々も少し慌てまして」

辺境伯と呼ばれた男が必死に言い訳する。


「こんなか弱い子供を拷問するとはどういうことだ! いつから帝国の騎士団はそのような卑劣なことをするようになったのだ」

激怒したクリフが言ってくれた。


「重ね重ね申し訳ありません」

慌てて辺境伯が頭を下げた。


「貴様らも何をしている。頭を下げんか」

辺境伯が周りの騎士たちに言う。


「しかし、殿下はその女の魅了にやられているのでは」

私に偉そうに尋問していた男が抵抗した。


「愚か者。貴様は帝国の至宝守りの首輪に弾き飛ばされたのだぞ。下手したら反逆罪で処刑だぞ」

辺境伯の声に

「そ、そんな」

騎士は唖然としていた。


「「も、申し訳ありません」」

周りの騎士たちは慌てて剣を投げ出してクリフに頭を下げていた。


「俺じゃない。アオイに謝れ」

クリフが怒って叫んでくれた。


「も、申し訳ございません。アオイ様」

「も、申し訳ございません」

騎士たちが次々に頭を下げてくれるんだけど、拷問されそうになったのは私だ。

その恐怖はそう簡単に忘れられなかった。


「絶対に許さない」

私としては後少しで拷問されるところだったのだ。

「その騎士、私の爪を剥ぐって言ったのよ。男達でみんなして襲い掛かって来たんだから」

私は完全に切れていたのだ。


「お前はなんということをしてくれたのだ」

辺境伯に思いっきり生意気な騎士は殴られていた。


「な、何卒、アオイ様、お許し下さい」

辺境伯は男の頭を地面に押し付けて謝ってくれるんだけど、


恐怖を感じたのは私なのだ。

そう簡単に頷くなんてことは出来なかった。


私は完全にクリフにくっついて、怒りと怯えとがごっちゃになってブルブル震えていたのだ。

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