おまけ

「「ん?」」


「「お」」


「「あ」」



俺は気がつくと非常に懐かしい高校の教室の自分の席に座っていて…



周りを見るとクラスメイト達もみんな揃ってそれぞれの席に座っている。



「おう、海、お前なに選んだ?」

「海、願いは何にした?」

「海原お前やっぱ金か?」

「海君なににした?」

「海原くんは何をお願いしたの?」



すると藤原、柴田、駒込、深山、飯島達が俺に向かって一斉に話しかけてきた。



「ごめん、なんて?一人ずつ頼むわ」


「ははは!海、お前めっちゃ人気者じゃん!」


「みんな海原のトコに集まって来てるしね」


「海原君人気者だなぁ」



俺が聞き返すと柴田が弄るように笑い、住吉や斉藤も笑いながら言い…異世界で仲良くやってた奴らも笑い出す。



「おい」


「ん?」


「お前ら約束覚えてるか?」



すると灰村がやって来てニヤリと笑いながらドサドサ!と俺の机に物を投げるように置きながら確認してくる。



「「「げ」」」



骸骨の標本っぽいのに、杖、マント、王冠…と、俺の机の上に置かれたのがおそらく見慣れた死霊王の装備一式と抜け殻である事に気付いた俺らの反応が被った。



「いや、おめー嘘だろ。神への願いをこんなくだらねー事に使ったのかよ」


「他になんかもっとあっただろ。アッチの装備なんてコッチではなんの役にも立たんぞ」


「神を殴るかどうか迷ったが…お前らの方が早かったからな」


「…嘘だろ」



俺と柴田が驚きながらも呆れながら言うとまさに後先考えないヤンキーみたいな事を返されたので、そのあまりの考えなしの発言に藤原も絶句したように呟く。



「俺は約束を守った。お前らも約束を守れよ」


「…分かった。俺らの負けだ、謝るから許してくれ。ごめん」



灰村は指の骨を鳴らしながら喧嘩の準備をするので俺は灰村のあまりの頭の悪…ヤンキー脳に驚きながら呟き、とりあえず謝る事に。



「まさかここまでとは…調子に乗ってすまんかったな」


「…ああ…これからは気をつけるわ。ごめん」



柴田と藤原も多分同じ事を思ってるんであろうアイコンタクトをしながら謝罪した。



「ああ?その程度の謝罪で済むと思ってんのか?」


「…はぁ…人がせっかく謝ってんのに…」


「ああ!?」



納得せずに食ってかかってくる灰村に柴田がため息を吐きながら呟くと灰村が一歩近づき…



「お前ら席につけー。朝のホームルーム始めるぞー」



ちょうど良いタイミングで教師が教室の中に入ってくる。



「チッ…」



灰村は舌打ちしながらも一旦引き下がって自分の席へと戻っていく。



「じゃあホームルームを始める…前に。…海原、なんだソレは?」



担任が教壇に立つと俺の机の上に置かれてる物を見て生徒名簿を見た後に尋ねた。



「死霊王の装備一式と抜け殻ですけど?」


「はあ?」


「「死霊王…!」」


「「死霊王だって…!?」」



俺の返答に担任は意味分からないといった反応をするとクラスメイトの一部が驚き、ザワッとする。



「…なんだ?若者の間で流行ってるのか?だいぶ禍々しい名前だけど…」


「コレは灰村が…灰村君が俺の机に置いて行った物で、俺のじゃありません」


「ああ!?」



その反応を見た担任は微妙な顔をしながら呟くので、俺が弄るように灰村を見ながら告げると灰村がイラついたように立ち上がった。



「そ、そうか…不良はドクロとか好きだもんな…あ、いや、すまん。今のは言葉の綾だ。灰村は不良じゃなくて少し変わってるだけだもんな」


「チッ!」



教師のなんとも言えないような顔での腫れ物を扱うかのような発言に灰村は不機嫌な顔で舌打ちしてドカッ!と荒っぽく椅子に座る。



「アイツの態度ヤバくねー?」


「世渡りの下手さがヤベーな」


「おい!藤原!柴田!聞こえてんぞ!言いたい事があるならハッキリ言ったらどうだ!?」



柴田と藤原がコソコソと灰村の態度の悪さについて話してると灰村はまたして立ち上がって怒鳴り出した。



「静かに!灰村、座れ!」


「チッ…!てめーら後で覚えてろよ…!」



担任が怒るように命令すると灰村は怒りながら座る。



「全く…もう高校生だというのに小学生みたいな…では気をとりなおして朝のホームルームを始める…前に転入生を紹介する」


「「「転入生?」」」



担任は呆れたように呟いて意外な事を言い出し、クラスの中がざわつく。



「入ってくれ」


「うむ」


「「「「は?」」」」



担任がクラスのドアを開けながら言うと永江が返事をしながら入って来て…



永江の正体を知ってる俺らはみんな呆気に取られたような反応になった。



…かと思いきや女子達の方を見ると深山や佐藤、小林達は笑っている。



「妾の名は永江。『永江 深亜』じゃ。知り合いもおろうが、今日からよろしく頼むぞ」


「じゃあ席は…」


「アッチ。海殿の後ろがよいぞ」


「じゃあそこにしよう。海原、廊下の机と椅子を持って行ってくれ」



永江が自己紹介をすると担任が席をどこにするか迷い、永江の指名を受け入れて俺に指示を出す。



「えー…俺がー?しゃーねーな…」


「すまんな」



しょうがなく後ろのドアから廊下に出ると机や椅子の予備がすぐそこに用意されてたので教室の中に入れてると…



「永江さん、よろしくね」


「うむ」


「ミアちゃん隣だね」


「うむ!」



永江は何故か俺の席に座って前の清水や隣の斉藤と仲良く話し始める。



「いや、ソコ俺の席だから」


「む。そうであったか」


「海原は後ろの席で良いんじゃない?一番後ろの方が良いでしょ?」


「まあ別にいいけど…」


「やった!海原君ありがと!」



俺がツッコむと永江が立ち上がり、清水が俺の方を移動させるように言い出すので了承すると斉藤が嬉しそうにお礼を言う。



「…お前たち…昨日なにかあったのか?なんか急にえらく距離感が縮まってるが…」


「昨日というか…まあ、はい」


「色々あって」



その様子を見た担任が不思議そうに聞くので清水が困ったように呟いて肯定するので俺も適当に返す。



「そうか。青春っていいもんだなぁ…っと、まずい。これからホームルームを始める!」



担任は納得したように呟いて眩しそうに目を細めながら言うとチャイムが鳴るので焦り出した。

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