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…それから30分後。




「お。できたみたい」


「なんと!もうか!?」


「…アレから30分も…早い…」


「楽しい時間はあっという間ですものね」



王子達との雑談中に俺が報告するとモニクァの王子が驚くように確認するとワウシャープの王子も驚きながら呟き、王女が残念そうに…名残惜しそうに返す。



「じゃあ…はい、コレ」


「うむ!ありがたい!」



俺は召喚した兵から受け取ったハルバードや幅広で足と手に付けれるブレスレット…



カチューシャに軽鎧のようなチャック式の袖のないメタルジャケットをモニクァの王子に渡すと喜びながら受け取る。



「ほう…ヒルミィ殿はハルバードか」


「うむ!突いてよし、斬ってよし、叩いてよし、と槍と斧の利点を持ち合わせているからな」



トルツの王子が意外そうに言うとハルバードを使っている理由を話す。



「でも重くない?」


「ふはは、そこは鍛えているからな。…しかしコレはまるで小枝のように軽いな…この大きさで重さをほとんど感じぬ」



俺の問いに王子は笑いながら腕力で解決してる事を返すと俺が渡した武器を持ちながら驚きながら呟く。



「まあ魔法鍛法の技術を全てぶち込んだ集大成で、まさに技術の結晶だからね…はい」


「うむ」



俺は適当な感じで理由を話しながら今度はドロウィンの王子に身の丈ほどもある幅広の大剣を渡した。



「ギルバート殿は大剣か。それも身の丈ほどもある剣とは珍しい」


「盾にも使えますからな。いざと言う時は身体を張って敵を食い止め、民を逃がす時間を稼がねばなりません」


「あとコレ」



モニクァの王子の発言にドロウィンの王子が理由を話すので俺はシンプルで細いサークレットと…



後はモニクァの王子に渡したのと同じ形状の防具を渡す。



「…しかしヒルミィ殿のより質量があるこの大剣でさえ重さはまるで棒切れのようだ」


「じゃあ次、ハイ」


「…感謝する」



大剣の重さを確かめる王子を無視して今度はワウシャープの王子に細身の剣を二本とモニクァの王子と同じ防具を渡した。



「ルドラ殿は双剣か」


「…多人数を、相手する事も…あるかもしれないから…」


「じゃあ次ね」



トルツの王子の発言にワウシャープの王子が理由を話し、俺はトルツの王子に弓を渡す。



「ほう…!これは凄い…!全てが金属で出来ている弓など見た事が無い!」


「全て?弦も金属で?」


「ああ。一体でどういう技術で…!」



魔鉱石製の弓を受け取った王子が驚くと王女が不思議そうに尋ね、王子は肯定して驚きながら俺を見る。



「金属を蜘蛛の糸ぐらいに細くして束ねただけだけど」


「…聞くと簡単に思えるが、そんな事が?」


「…理論上は。…でも技術的には…」



俺の簡単な説明にドロウィンの王子がワウシャープの王子に確認すると頷いて肯定すると直ぐに首を振りながら否定した。



「しかし軽いな。重さもさる事ながら引く時にも力がほとんど要らぬ…しかし…」



トルツの王子は弓を上下に振った後に弦を掴んで軽く引くと指を離し、ビイィン!という弦を弾く音が聞こえる。



「…子供でも軽く引けそうな軽さで強力な弓を放てそうだ…限界まで引けば一体どれほどの…!」


「反発力だったか復元力だったか形状記憶だかの複合技術だね。とりあえず、はい」



俺はトルツの王子に適当な感じで軽く説明してから細いカチューシャとモニクァの王子達に渡したのと同じ防具を渡す。



「感謝する」


「んで、最後ね」


「ありがとうございます!」



トルツの王子が受け取りながらお礼の言葉を言うので俺は王女に杖とサークレット、そして王子達と同じ防具を渡した。



「うむ。思った通り…これなら普段使いができそうだ」


「ええ。これならば咄嗟の時でも対応できる」


「…わざわざ装備を整える時間が、省ける…」



王女が装備を受け取ると王子達はさっそく防具を身に着けて感想を言うが…



正直ワイルドなイケメンやクールなイケメン達が…大の男が普通に頭にカチューシャやサークレットを付けてる様子は違和感が凄い。



「やっぱりカチューシャとかサークレットじゃなくて兜にした方が良かったんじゃない?」


「何故だ?特に変では無いハズだが…」


「ええ。違和感は無いハズ…」


「あ、うん。じゃあソレでいいや」



俺の提案にモニクァの王子やドロウィンの王子が不思議がるので俺は『お国柄か…』と思いながら引き下がる。



「ふむ…先程のシスター殿の言う通り新しい武器が手に入ると戦いたくなるな」


「うむ。装備の性能を試してみたくなるものだ」


「ん~…じゃあ外に魔獣狩りに行く?」



王子達が新しいオモチャを手に入れた子供のようにはしゃぎながら話すので俺は少し考えてそう提案した。



「…ソレは良い考えだ」


「…同意」


「実際に使ってみない事には分かりませんものね」


「じゃあ適当な所に行こうか…どこがいい?」


「では西の方角はどうだろうか?中継基地のある方角で、魔獣がいると運搬にも支障をきたしかねん」


「ですね」


「うむ」


「んじゃソコで」



王子や王女の賛成に俺が場所を尋ねるとドロウィンの王子が意見を出し、他に反対する人もいなかったのでソコに行く事に。



「…うーん…居ないみたいだね」


「そうか…いや、安全が確保されているのは喜ぶべき事だな」



馬車に乗って拠点から出るも魔獣の姿が全く見えないので俺が報告するとトルツの王子はガッカリしたように呟き、考えを変えるように言う。



「じゃあとりあえず進路変えて魔獣の居る場所に行こうか。もしかしたらソッチからコッチに来ないとも限らないし」


「!そうだな!」


「流石はウミハラ殿だ。素晴らしい判断であるぞ!」



『せっかく拠点外に出たんだし…』と、俺が提案すると王子達は嬉しそうに賛同した。

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