Bull見つけ隊!
あの世の支配人
第1話 Bull見つけ隊!
春になり陽が暖かくなり始めました。花が咲き、虫が動きを始め、人は新しい生活に胸躍らせます。私、
「ではこれより部活設立に向けて部活名を決めたいと思う!」
凛々しく力の入った声が下校時間をとっくに過ぎた今、とある教室で響く。紫色の艶やかな長髪を束ねてポニーテールを作るこの人は二年生の
「そんな兵隊さんみたいな声出して。新入生の小たちが驚いちゃうでしょ」
対照的に柔らかく落ち着いた調子で声を出したのは同じく二年の
そしてこの教室にいる残りのメンバー……
意味もわからず連れてこられた教室の真ん中の席に座る私と、一番前の席に座る青髪ショートボブの女の子と桜宮先輩の隣の席で寝ている金髪ロングの女の子。金髪の女の子は先輩で青髪の女の子は私と同じ一年生に見えるけどどうなんだろう……?
そんなことを考えていると話が少し進んだみたい。新城先輩は私の方を見て何か考えていた。
「この難題は一人では解決できないことだ。ではこうしよう。神楽坂隊員!」
「はい!」
急に私の名前が呼ばれたからつい立って敬礼してしまいました。そんな必要なかったのに……後ろの方からくすくすと笑う声が聞こえる。きっと桜宮先輩が笑っているのでしょう。私は俯きたくなるほど顔を赤らめて、とりあえず敬礼の手をそっと下ろした。
「いい返事だ。神楽坂隊員。そんな君にとっておきの任務を与える」
「……何でしょう?」
「私たちは皆ダーツという素晴らしいスポーツに憧れやっとの思いで部活を作ることができるのだ。あとはこの部活の名前を決めれば良いのだがそれが難しくてな。だからその難題を解く権利を与えよう」
え……?丸投げじゃないですか!話聞いてなかったのがバレちゃったのかな。
「えっと……普通にダーツ部とかでいいんじゃないですか?」
「ばっかもーん!それでは面白みじゃないかっ!」
新城先輩は私の意見を秒で跳ね返した。しかし私もなんとなくわかっていた。そんな誰でも思いつくようなことならこんな会議は始まらなかったのだから。
「もっと面白い部活名はないか?これは来年、再来年入ってくる後輩のためにもインパクトの強いものを考えなければならないのだ」
そんなこと言われても……他の人たちと違って私は今日初めてダーツしてみたんだから!ルールもまだほとんどわからないし。知っている用語なんてせいぜい今日教えてもらったBullとかくらいだし……
「……そうだ」
「何かいい案は浮かんだか?」
「今日先輩方が教えてくれたことの中にBullが迷子って言葉があったじゃないですか?だったらBullを探す部活にすればいいんですよ!Bull見つけ隊なんてどうでしょうか!」
「だいぶさっきの兵隊さんにつられているように見えるけど私は好きよ」
桜宮先輩はまた少し笑いながらもそう言ってくれた。
「中々やるね。流石私のライバルなだけあるね」
青髪の何とかちゃんとか言う女の子もそう言った。ごめんね!まだ名前覚えられてなくて。
新城先輩は腕を胸の前で組み、目を閉じた。もしかして先輩は気に入らなかったのでしょうか?10秒くらい無言の後ようやく先輩の口が開いた。何て言われるのかドキドキしたけれど……
「素晴らしい名前だ!これなら天下を取れる!」
心配御無用でした。今日会ったばかりの先輩ですがなんとなくどんな人なのかわかった気がします。
「よし!具体的な活動内容はまた今度決めるとしよう。それでは解散とする!」
橙色をした空はすっかり真っ暗になり、ようやく私たちは解散できました。そして思いもしなかった私の高校生活が始まりました。
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