同棲彼女はいわくつき

雪花彩歌

プロローグ

「ーーはぁ、またあなたですか」


 そう溜息をつく警察官に私ははぁと返事をした。

 私は葉月風音はづきかざね、16歳。花の女子高生である。まぁ、自宅学習中ではあるのだが。


「あ、この人、あのお姉さんに殺されたらしいです」

「あぁ、ありがとう……でいいのかな?あなたが出歩くと事件が起こるのだけれど」

「まぁ、ですけど、ですからね」


 私は珍しい体質だ。

 まずひとつ。私は不幸体質だ。私が不幸なのはもちろんのこと、私がどこかに出かければ必ず誰かが死ぬ。

 もうひとつ。幽霊が視える。だから、先ほどの殺人事件の犯人がわかった。なんせ、殺された人が私に教えてくれたのだから。


 それ故、私は“死神”と呼ばれている。


「おい、来栖くるす!お前、これ以上被害者が増えないように“死神”と一緒に暮らして見張っとけ!」

「え?え!?えーー!!?先輩、あたし死んじゃいますよ!?絶対、死んじゃいますよ!!??」

「今まで生きてたんだから大丈夫だって☆あとは任せた!」


 彼女を残し、先輩と呼ばれた警察官は去っていく。


「よろしくお願いします……?」


 ーーカザネニチカヅクヤツハ、コロスコロスコロスコロス……!


「もう、お姉ちゃんってば、殺しちゃダメだよ?」

「……あなた、“お姉ちゃん”って誰に話しかけてるのよ……?」

「あぁ、お姉ちゃんはね、私に取り憑いてる幽霊なんです。私を独り占めしたくて湧き出す殺意が、周りに影響しちゃって、人がいっぱい死ぬんですよ」

「幽霊なんかあたしは信じないーー!!」

「あははー。幽霊はいるんですけどねー」


 あなたの後ろにも、ね?


 かくして私と彼女の同棲は始まったのである。

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