たたと神

再才りり

第1話

 ある村にりたという名の1人の少女がいました。

りたはおばあちゃんの事が大好きでした。

おばあちゃんはりたの唯一の味方でした。

りたの家で彼女を必要としていた人は誰一人としていなかったからです。

りたの両親は小さい頃から彼女にとても冷たく、幼い妹の面倒ばかり見ていました。

村の人には仲睦まじい家庭を演じていましたが、りたはそれが普通なのだと思っていました。


 遊び相手のいなかったりたは毎日おばあちゃんと遊んでいました。

おばあちゃんは遊びながらりたに生きる術を教えてくれました。

天気の読み方、食べられる植物、毒のある植物、魚の捕まえ方、火の起こし方、料理の仕方、刃物の扱い方、身のこなし方まで教えてくれました。


15歳になり、りたは家を出て一人暮らしを始めました。

家を出てからもずっと、おばあちゃんは1人で暮らすりたの傍にいてくれました。

りたはおばあちゃんの教えてくれた術を使って外の世界で生きてみたいと思うようになりました。

そんなある日、おばあちゃんが突然姿を消しました。

朝目を覚ますと、おばあちゃんのいた形跡が全てなくなっており、どこを探しても見つかりませんでした。

「もう大丈夫だね。もう1人でたたかえるね。」

最後にそう言っていたような気がしました。

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