『女子高生女優ランキング第一位』に選ばれた幼馴染は、俺にだけデレを隠せない〜演技派女優は俺にだけデレる〜

神月

第1話 演技のできない幼馴染

新天にいぞらさん!昨日出てたドラマ観たよ!」

「観てくれたの?ありがと!」

「今回の作品の新天さんの役は、結構頭良い感じの子だよね!」

「うん!今回のは知的な感じの役をやらせてもらったよ!」

「毎日テレビで観るんだから、本当すごいよね〜!」


 今話の中心となっているのは、新天にいぞら舞葉まいはという、俺と同い年の幼馴染で、特徴的なのはサラサラで綺麗な茶髪と、その整っていて可愛いや美しいと表現せざるを得ない顔立ちだ。

 これは幼馴染を誇りのように思いながら自慢しているというわけではなく、実際に舞葉は『可愛くて演技が上手い女子高生女優ランキング』というもので少し前に『第一位』を取っている……そのことからも、顔が整っているのはまず間違いない。

 幼馴染ということで舞葉とは毎朝一緒に学校に登校しているが、登校すると毎朝毎朝絶対に舞葉はこんな感じで話しかけられているため、登校したての時はいつもそっと舞葉から離れている。


「はぁ、毎朝毎朝よく飽きないな」


 そんなことを呟いてから俺はこれまたいつも通りそっと自分の席に向かおうとした────が、ぐいっと何かに首元を掴まれてしまった。


「うっ……」

飛隣ひりん!隣の席なんだからいつも一緒に座ろって言ってるのになんでいつも先に座ろうとするの!?今日は目を光らせてて良かったよ」


 俺の見空みそら飛隣ひりんという名前を呼んで俺の首元を掴んでいたのは、どうやらその舞葉らしい。


「あんなに長話してたらその間に座ろうとするのは自然なことだ」

「はぁ、飛隣だけはほんといつまで経っても変わらないね、今となっては私なんて男子からモテモテで結構な頻度で告白されてるのに」

「そうか、俺と一緒だな、俺も定期的に女子から告白されてる」

「……え、え、え、え、え?ええ!?嘘、嘘!?本当に!?」


 そう言いながら、舞葉は俺の首元を掴みながら俺の首元を引っ張ったり戻したりしていた……く、苦しい。


「ま、待て、締まって、うっ、から」

「嘘だよね!?え、本当なの!?」


 舞葉は、俺から女子の気配がすると、大体いつもこんな感じになって、いつもこんな感じに取り乱す。

 そして、それと同時にいつも思う……こんな感情のコントロール力で一体どうやって役者なんてやってるんだ!そのコントロール力をこういう時にこそ活かせ!と。

 とりあえず今は首元が締まって苦しいから、大人しく本当のことを白状しておくことにしよう。


「冗談だ、嘘、嘘、本当なはずないだろ?」

「────びっくりした〜!もう〜!そういうちょっと真実味ある嘘やめてよね〜!私が役者の仕事で忙しくなり始めたから、その間に飛隣がモテ始めちゃったのかって心配になっちゃったよ〜!」

「真実味って、俺が定期的に女子から告白されることに真実味なんてあるのか?」


 俺が純粋な疑問としてそう聞くと、舞葉は見る見る顔を赤くしていき、大きな声で言った。


「な、ないない!ないに決まってるじゃん!も、もう〜!自意識過剰なんだから!飛隣がモテる要素なんて一つもないでしょ?ちょっと勉強ができて、ちょっとスポーツができて────じゃないから!飛隣が家事は何も出来ないこと、私が誰よりも知ってるんだから!私が誰よりも知ってるんだからね!」

「大事なことじゃないから二回も言わなくていい」

「大事なことだから!」

「大事じゃない」

「大事なの!もう!飛隣のことなんて大嫌い────じゃないけど、もう話してあげな────いのは私が辛いけど、もう一緒に学校も登校────したい!」

「ジェットコースターか?」


 感情の行き交いが激しい舞葉に、俺はそんなありきたりなツッコミを入れておいた……だが、舞葉はそんなツッコミなど気にする様子もない様子で慌てた様子で言った。


「と、とにかく!飛隣がモテるとか絶対ないんだから、あんまり自惚れたりしないでよね!むしろ嫌われる確率の方が高いと思って生活してよね!」

「じゃあ、舞葉は俺のことが嫌いなのか?」

「き……きら……き、ら……も、もうそろそろホームルームの時間だから!バイバイ!」


 そう言うと、舞葉は急いだ様子で自分の席に向かった。

 俺と舞葉が隣の席だってことは、ついさっき自分で言ってたことなのにな……わざわざ舞葉の出ているドラマを観たりしたことはないけど本当に演技力があるのかどうか疑わしい。

 でも、ひとまずは嫌われていないということに少し安心感を覚えた……むしろ、あの反応を見ると、幼馴染としてはかなり好かれていると思っても────なんて、思うだけで「自惚れないで!」とか言われそうだから、思うこともやめておこう。


「……少し遅れて座ってやるか」


 俺は適当に時間を潰してから、ホームルームギリギリの時間になると、席に着いた。

 ……世間では『可愛くて演技が上手い女子高生女優ランキング第一位』なんて言われているようだが、俺にとっては────演技のえも知らない、舞葉だってことは、ずっと変わらないだろう。

 俺たちの関係はずっと変わらない……変わらないと……そう、思っていた────あの日が来るまでは。



 ヤンデレ聖女様の信仰している神様が実は僕で、とても狂愛されている件────という最新作を公開させていただきました!

 ご興味のある方は、こちらの作品も併せてお読みいただけると幸いです!


↓作品URL

https://kakuyomu.jp/works/16818093074578866152/episodes/16818093074581025948

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