第004話:時間と空間が歪むブラックホールの探索

 今日も宇宙船「ノーヴァ」は順調な航海を続けていました。

 今度の目的地は、恒星の蓄積物が圧縮されて形成される、密度と質量が非常に高い天体……すなわちブラックホールでした。そこは時間と空間が歪み、その中心に近づくほど時間がゆっくりと進むとされていました。

 この不思議な天体を探索することは、サラとリナにとって新たな挑戦であり、さらなる学びの場でした。 船がブラックホールの近くに到着したとき、ふたりは敬意と予期せぬ驚きでその壮大さを見つめました。

「これがブラックホールかぁ……」

 リナが感嘆してつぶやいた。

「あ!、見て見て、リナ。あそこに光の輪が見えるよ!」

 サラが歓声を上げました。

 それはブラックホールの重力が強すぎるため、光さえも逃げられず、周りを飲み込む光の輪、エヴェントホライゾンでした。

「ブラックホールって、本当に光さえ吸い込んじゃうんだよね?」

 リナが、目を丸くしながら尋ねました。

「そうだよ、リナ。だからブラックホールは、直接観察することはできないわ。ただし、その周りの物質が吸引される様子でその存在を推測することはできるのよ」とサラが説明しました。

「え、でもそれってどうしてなの?」

 リナは引き続き興味津々で尋ねました。

「それは、ブラックホールの重力が非常に強力だからよ。その重力に抗する力が存在しないため、光すらも逃げ出すことができないの。そこがブラックホールの神秘的なところなのよ」

 サラは目を輝かせながら答えました。

「なるほど、だからあの光の輪が見えるんだね」

 リナが感心して言いました。

「うん、それがエヴェントホライゾンと呼ばれる境界線よ。このラインを超えると、もう二度と戻ることはできなくなるわ。だから、ブラックホールの中に何があるのかは誰も知らないの。それがブラックホールの最大の謎なんだよね」

 サラはなぜか得意げに語りました。

 その日の授業は「ブラックホールとその影響」で、その形成過程からエヴェントホライゾンの働き、さらにはブラックホールから放出されるジェット流やホーキング放射など、ブラックホールについての様々なトピックを学びました。

 ブラックホールが宇宙の構造や進化にどのように影響を与えるか、その不可思議さと幅広さは彼女たちの知識を深める契機となりました。

 サラとリナの航海はまだまだ続いていくのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る