第003話:微生物のペットとの楽しい日々
今日も宇宙船「ノーヴァ」は順調な航海を続けていました。
サラとリナの発見した生命体の可能性は、当初は単なる科学的興奮に過ぎませんでした。しかし、その後の研究と分析によって、微生物レベルではあるものの、異なる形状や機能を持つ生命体が存在することが次第に明らかになってきました。
彼女たちはその微生物のいくつかが、特定のエネルギー環境下で増殖や成長を繰り返すことを発見しました。
そこでサラはひらめきました
「そうだ! この微生物をペットとして育ててみようよ!」
「名案だわ、サラ!」
彼女たちの寮の部屋に置かれた特殊なテラリウムで、この微生物を育て始めました。
テラリウムは、微生物が適応する可能性を最大限に引き出すために特別に設計され、微生物が生き生きと育つための光、温度、湿度が調整可能でした。
最初の数日間は、微生物の反応を見る程度でしたが、次第に微生物は成長と変化を見せ始めました。微生物は、テラリウムの環境に適応し、必要に応じて形状を変えたり、周囲の状況に応答したりする能力を持つことがわかりました。
また、ある特定の光の周波数に反応して色彩を変化させる、または微妙なパルスを発するなど、他の生命体が持つような特徴も見られました。
テラリウムの中では、それら微生物は独特のパターンを展開し、色と光で視覚的なパフォーマンスを行います。これは彼女たちにとって、予想を遥かに超える驚きと興奮をもたらしました。
サラとリナはこの微生物を「ピクシー」と名付けました。「ピクシー」は彼女たちの生活に一層の楽しさと親密さをもたらしてくれたのです。
一日の終りに彼女たちは寮の食堂で一緒に過ごしながら、「ピクシー」の成長の過程や振る舞いについて熱心に話し合うのが恒例になっていました。
「ねえ、ピクシー、ここ最近特に色彩が変わったような気がするんだけど、あなたも感じる?」
「うん、私もそう思うよ。もしかしたら、あの子は自分の成長プロセスをあたしたちに示しているのかもしれないわね」
「それと、あの子のパルスが最近通常より活発なのよね。それはあの子が興奮している証拠なのかな?」
「それもありそうだね。あとあの子、私たちが近づくと反応している気がするわ。それはあの子が私たちを認識している証拠かもしれない」
サラとリナはピクシーの挙動や反応を観察しながら、「ピクシー」が感じている可能性のある感情や状態について熱心に話し合いました。
また、彼女たちはピクシーに発声や日常行動を教えることにも挑戦しました。
「ピクシー、わかる? あたしはここにいるよ」
「うわ、この子、光ってる! すごい、リナの声に反応したんだ!」
「ほんとう? なら、音楽を流したらどう反応するか見てみようかしら?」
彼女たちはさまざまな音楽を流し、ピクシーの反応を見ました。するとピクシーはある種のメロディーに反応し、色彩を活発に変化させました。
サラとリナはその後もこの微生物のペットとの日々を楽しむことができました。
「ピクシー」は、彼女たち自身の発見した可能性から生まれた生命体であり、「ノーヴァ」の乗員たちにとっても新たな楽しみと学びの源となりました。彼女たちは自らの科学的な探求を通じて生命の価値と美しさを改めて理解し、自分たちの旅を豊かにする鍵を見つけることができたのです。
サラとリナの航海はまだまだ続いていくのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます