第3話リハビリ

夜中俺は自分に起きた出来事に実感も持てず、寝過ぎにより目も冴えてしまい眠れずにただただ呆然と時が経つのを待っていた。

すると何処からか歌声が聞こえて来た。

その歌声はとても可愛らしい声で尚且つパワフルな歌声だった。

夜の病院で外から歌声が聞こえるというとても不気味な状況なのに俺はその歌声に聞き惚れいつしか眠りに就いていたのだった。


お昼看護師がやって来てリハビリをしようと誘う。

「まだ歩ける希望はあるから頑張ろう」と言われその言葉を信じ看護師に俺の身体を託す。

リハビリ終了後「本格的に頚椎が治れば歩く練習も始めようね」と言い残し看護師は去って行った。

一体俺の脚が治るのはいつになるのだろうか…

そんなことを考えながら同じ毎日を過ごす内に月日は過ぎ去り早半年……

その頃には俺は立って短距離だが歩くまでに回復していた。


最近はリハビリ室へ向かい俺は何度も何度も地べたにへばりついては立ち上がりを繰り返す地獄のような時間を過ごし、病室へと帰還する。

病室の簡素なベッドに腰掛けると隣人が声をかけて来た。

「今日からお隣になりました。夕星と申します。よろしくお願いします」

頭を下げる隣人の母親に俺も頭を下げつつ挨拶を交わす。

それが俺と彼女との出会いだった。

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