第02話 今日は江ノ島水族館

第02話 今日は江ノ島水族館


「もういいだろ? あいつのことは……」

神奈川県住「A男」が問い掛け

神奈川県住「b女」が呼応する。同意の様子。

懐かしき故郷で過ごす「AaBb」は破棄する腹づもりのようだ。

それだけ神奈川県は都会で刺激的だった。

大都会:東京都とは又違った、陽射しの照り返し方。

「友達」として同伴した数々の観光名所に心奪われて

「恋人」として過ごした思い出に上書き保存されていった。

「b女」にとって「B男」は誠実な男性だったが

「b女」にとって「A男」は剽軽な道化に映った。

最初は絶対に恋人対象ではなかったはずだが

自分だけの道化だと認識すると、独占欲が疼いた。

山口高校の林間学校で魅せたケンダーマンを彼女は忘れられない。

(ケンダーマンの詳述は、現段階では避けることに)。


一方の北海道組は変わらず昔の恋人のことを

恋人と認識して、再会を楽しみにしていた。

二人で示し合わせて、神奈川県遠征を企むくらいだ。

つまりは関係を正すと

「B男」は「b女」のことを

「a女」は「A男」のことを思い続けていた。

便宜上、神奈川県組はSNSに反応はしてくれるが

平たい文字盤の上で巻き起こる熱量の違いを

敏感に察知することは出来なかったようだ。

(SNSと言う表現は不適切かも知れないが

配信会社を特定させないための配慮の一つ)。


取り敢えず、今日も二人で江ノ島水族館に行って来た。

「b女」の発案したイベントかと思いきや

「A男」が場所指定をして来た。

「b女」からしたらぶっちゃけだが

「B男」が勇気を出して告ってくれた人で

「A男」が勇気を持って告白したい対象に違いなかった。

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