第7話 チームカラー
チームには幾つか種類がある。
ラフネックスのようにのんびりと遊ぶエンジョイ派もいれば、真逆のガチ攻略派。衣装をひたすらに変えてスクリーンショットで遊ぶ派などもいる。
オレが苦手なのは言うまでもなくガチ派だ。
以前所属していたチームがこれだったのだが、レベルが低いと行けない戦闘が発生した場合は置いてきぼりで、何が楽しいのかサッパリだった。無論、オレ以外は皆、戦闘に参加しているという状況。
衣装遊びのチームの様子はSNSで稀に見掛ける。
自慢の衣装、髪型やら服やら、時には体型まで変えてスクショをSNSに挙げている。
オレも少しだけ衣装遊びにハマっていた時期はあったが、これが意外に資金が必要なので辞めてしまった。なので今の姿はその名残りだ。名残りだが、これはこれで気に入っているのでいいだろう。
ガチ攻略派には言うまでもないが猛者が揃っている。
とにかく強いこいつらは、戦場で遭遇するととても頼りになる。が、例えば挨拶をしたところで殆どの場合、無視される。要するに見下されているのだ。
ガチ派のそういうところが嫌いだったりもするが、ゲームをしているのだから強くなっているのは当たり前で、どちらかと言うとあちらのほうが正常だ。
ボイチャやテキチャでダベってばかりのオレらのほうが異端なのだろうという自覚はあるし、特にオレの姿勢は異端中の異端だ。
そんなオレがマスターをやっているので、チームカラーはどうにも緩くなってしまう。そしてだ、それをガロウはやや嫌がっている節があるのだ。
もっと攻略して欲しい、的な発言は幾度となくボイチャで聞いているし、雑談にはあまり興味を示さない。
しかしなのだ。
そんなガロウだがオレのチーム、ラフネックスを抜ける様子は現時点では微塵もない。と言うか、いままで在籍し続けていたのが逆に不思議なのだ。
だが、ここを掘り下げるようなトークはきっと嫌がるだろうから、触らぬ神に、としておく。
皆のボイチャとオレのテキチャでの会話に、戦闘話題では入ってくるガロウなので、基本、ガチ派なのだろうといった推測が出来るが、きっと他チームに移るのが面倒なのか、テキチャが苦手ということから、コミュニケーション自体が苦手なのかもしれない。
あくまで憶測だが。
いざ戦闘となれば頼れるヒヨコのガロウ。アールファンタジアオンラインでは知らないことはほぼないと言っても過言ではない彼は、ラフネックスには勿体ないが手放すのも惜しい逸材には違いないので。
出来ればもう少し砕けた態度でいて欲しい、雑談などにも参加して欲しい、とはマスターからのささやかな願いだ。
そういうチームカラーだから。
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